キズキで働く先生の側もいろいろな経歴の方がおられます。どういう方を採用されるのですか? 社内で統一された基準はありますが、僕が一番重視しているのは論理的な思考力のある方です。目が曇っている子にどんな言葉を掛けると表情が変わるのか。コミュニケーション能力ともちょっと違う。支援とは、相手に合わせること。学校の先生の指導は、集団をまとめるための声掛けで一方通行であることが多い。支援に必要なコミュニケーションとは、相手に合わせること。 一例として、たとえば3年間引きこもりの子が通うことになった場合、毎週の授業が楽しみだな、と思ってもらえるように声掛けすることを考えるのが先生の役目。楽しみにするためには何をすべきか?目標から論理的に逆算して考える営業マンと同じです。ものを売れる人は、キズキで働けるかもしれません。引きこもりの子に対して、学校の先生は学校が基準なので「学校にきなさい」と言わざるを得ないことが多い。このように、採用面接ではキズキで求める指導力があるかどうか見極めます。 社会の流れを作っているのがすごいなぁと思います。先日クラウドファンディングが始まったばかりの、キズキの新たな取り組みを教えてください。 年明けから、うつや発達障害の人を対象としたビジネスカレッジを開校します。キズキ共育塾は20歳前後の子が主な生徒層ですが、このビジネスカレッジは一度社会に出たものの働けなかった20~30代の方が主な対象です。そうした方々が再び働けるようになるための、高度なビジネススキルを教える予定です。再び会社勤めを行う道もあれば、会社組織に合わせて働かなくてもフリーランスで仕事をする道もある。僕の周りにも英語の翻訳をクラウドワークスなどで請けて生活費を稼いでいる…という人が結構いますが、それは本人のペースで働けていいと思う。英語ができるという技術、専門性があるからできること。「うつや発達障害を抱えていても、専門性を高めればいろいろ道がある」という支援・教育を提供していきたい。10月からクラウドファンディングも始めています。 すごく世の中に望まれていることだと思います。子どもを育てる親に、安田さんの立場から何か伝えてもらえますか? 子どもに自分を投影することはやめてほしい。日本は、子どもの成功や失敗が親の成功や失敗になっている。家族主義の思考でしょうが、そういう発想をまずやめること。「うちの子にはこうなってほしい」とあれこれ考える時点で、僕は嫌だな~と思っています。「やさしくて幸せに育ってくれたらそれでいい」くらいの親の方が、子どもは生きやすいと思います。世界を見渡すと、「子どもに過度な期待は掛けない。勝手に育てばいい」といった文化圏もあって、もちろんそこにも欠点はあるでしょうが、日本社会の価値観が少しそっちによっていけばいいなと思います。 今、暗闇にいる人には、どんな言葉を掛けてあげたいですか? 人生長いですから、何年か遅れても、その分長生きすればいい。むしろ挫折の経験が、年を重ねてから物語になる。その経験があるから、自分はこれがやりたいという希望に変わってくる。挫折もそんなに悪いモノじゃない。僕も自分の過去があったからこそ、今の仕事で飯が食えている。ああ、よかったな。と今となっては思います。 ---ありがとうございました! 2018年10月取材・文/マザール あべみちこ 安田 祐輔 書籍紹介 ■活動情報 不登校・中退・ひきこもり・再受験など、もう一度勉強したい人の個別指導塾 |
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