小野 雅裕(おの まさひろ) NASAジェット推進研究所技術者。火星ローバー・パーサヴィアランスの自動運転ソフトウェアの開発や地上管制に携わる他、将来の宇宙探査機の自律化に向けた様々な研究を行っている。1982年大阪生まれ、東京育ち。2005年東京大学工学部航空宇宙工学科卒業。2012年マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科博士課程および同技術政策プログラム修士課程修了。2012年より慶應義塾大学理工学部の助教、2013年より現職。2016年よりミーちゃんのパパ。阪神ファン。「スター・ウォーズ」大好き。好物はたくあんだが、塩分を控えるために現在節制中。著書に「宇宙を目指して海を渡る」(2014)、「宇宙に命はあるのか」(2018)、短編小説「天梯」にて第24回織田作之助賞・青春賞受賞(緒野雅裕名義)。» 小野 雅裕 公式twitterはこちら 小野さんの新刊「宇宙の話をしよう」を楽しく拝読しました。「宇宙に命はあるのか」という3年前のご著書も大変話題でしたが、今回の作品は親子の対談形式でお話が進んでいきますね。今回はどんな点にこだわられて執筆をされましたか? 大人を対象に書いた本「宇宙に命はあるのか」を3年前に刊行し、都内のある塾で講演をした時のこと。小学2年生くらいの女の子が、自分では読めないからお母さんが本にルビをふってくれたと話してくれたんです。それで、あ!子どもの視点で伝える本があったらいいのか!と思いまして。一番伝えなくちゃいけない世代へ向けてまだ書いていなかった。最初は大人向けの本にルビをふって挿絵を増やして子ども向けに…と思ったら、「子ども向けに作るならゼロから新しい一冊を作りましょう!」と編集者から提案されて、そんな予定ではなかったのですが2年費やしての大プロジェクトになりました。 私自身も宇宙について知っているつもりで全然わかっていなかった!とこの本を読んで感じました。ミーちゃんの子ども目線は一般人の視点に近いですし、挿絵も素敵ですね。 イラストは利根川初美さん。僕の読書サークルに参加されているイラストレーターです。とても波長が合うおもしろい方で、利根川さん自身が母親で子ども好き、そして宇宙に関心もあって。ある時、僕の娘ミーちゃんの絵を描いてくれたんです。割りばしをポキッと折って、折れ目でさらさらと描くのです。こうするとランダムに線ができておもしろみが出ると。この人、おもしろい絵の哲学を持っているんだな、と思いまして。新しい本を作る時に、有名な方も候補に挙がっていましたが、僕が利根川さんにぜひとお願いしました。 そういう出会いは大切ですね。みーちゃんは13歳という設定ですが、この対話は実話ですか?子育てで大切にされている教育方針はありますか? 実際のみーちゃんはまだ5歳で頭の中90%がディズニーです(笑)。僕は5歳のみーちゃんから、どんなバカバカしい質問でもちゃんと答えるようにしています。まず質問したことを「いい質問だね!」と褒めます。本で設定したみーちゃんは、子ども時代の僕と、本物のみーちゃんのミックス。子どもの頃の僕は宇宙が大好きでした。作中のみーちゃんと同じく、小学校で友達の輪に入れなくて。他の子はテレビや漫画の話が中心でしたが、興味の対象がそこになかったんです。僕が宇宙の話をしても誰も興味をもってくれず、宇宙が好きな父が話し相手でした。宇宙に興味があっても教室で孤独で、家に帰っても誰も話し相手がいない…そんな子の話し相手になれる本にしよう。子どもが読んでみーちゃんの側に感情移入してくれたら…と思い、対話形式にしました。 なるほど。お父様と宇宙について対話することで興味関心を育てられたのですね。小学校の頃は、習い事や教科などの中で何がお得意でしたか? 理科と算数は好きで、苦手なのは体育。5歳の頃、父に望遠鏡を買ってもらいました。星を観察してスケッチするのが好きで、小学1年生の時、自由研究で宇宙について調べました。小学3年生の時、「大きくなったら天文学者か生物学者になりたい」と文集に書きました。ちなみに文集の表紙にはロケットのイラストを描いています。当時は宇宙と、電車と、ドラえもんが好き。旅が好きでしたので、電車は撮るより乗る方でしたね。 習い事は小2からスイミングへ。泳ぐのは今でも好きです。字が汚いから書道教室へ行くよう母に勧められて通いましたがこれは嫌いでした(笑)。中学受験用の塾に通い始めたのは小4から。勉強はできるほうで私立の中高一貫進学校へ通いました。母は音楽好きで妹はピアノを習わされていましたが、たぶん僕の方が音楽の才能はあって(笑)中学からギターを始めました。音楽は今でも好きで、習い事の収穫はギターが一番です。 |
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