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■双雲さんの主宰されている書道教室にはたくさん生徒さんが通われて
いますが、ご自分の子ども時代と比べて気になることはありますか?
子どもたちもいろいろで違うタイプなので、ひとつの型にはあてはめられません。
どう転んでもしょうがないという気構えで、場は与えたほうがいい。
親が勝手に子どもに対して焦っていることに、子どもは嫌がっているんです。
僕の両親は、いつでも「おまえは天才!」と認めてくれていました。
「いつか、きっとすごいことをする」と信じてくれていた。
父はほとんど子育てに口を出すこともなく、仕事に明け暮れていましたが、たまに顔を合わせると「すごいな、おまえは天才!」とほめるだけ(笑)。
でも、そのおかげで何となく「おれってすごいかも」と思えた気がします。
■それは人としての基盤づくりにきっと大きな影響がありましたね。
会社を辞めて書道家になることに迷いはありませんでしたか?
根拠のない自信があったのです(笑)。
きっかけは、先輩に「おまえは字がきれいだから、新しい名刺を作ってほしい」と
頼まれまして。
筆で書いた字をコンピュータに取り込み、名刺を作成したら大好評でした。
それで、これは商売になるかな~と2001年1月に書道家として始動しました。
もともと手先が器用なほうではなく、学生時代は技術も美術も全然苦手で、成績は
いつも2でしたけれど。
■2001年から書道家として大ブレイクされて、激動の人生だったのでは?
印象的にはもっと計画的な見通しがおありだったのかと思いましたが、
そうではなかったのでしょうか?
書道家としての7年間というよりも、32年間の人生そのものが、常に激動でした
ので(笑)。過去と未来にこだわらないんです。
いまでも書を極めているだなんて自分では考えていませんし、いつもベストを尽くすのみ。行き当たりばったりのことも多いので「きまぐれ書道」なんて呼んでいます。
■双雲さんにも2才の息子さんがいらっしゃいますが、
子育てにもご自分のこれまでの体験がいかされていらっしゃるのでは?
父親として伝えていらっしゃることとは?
僕は父親になってから、こんなに楽しい役割はないと思うようになりました。
息子とは親友のような関係です。
2才頃って一番自我が芽生えてわからないことを言いますが、僕は毎日、息子の
言動を楽しんでいます。子どもといえど人格のある個人です。
父親という存在は家族を創造していく力が必要だと思う。
家族の構成メンバーを素材だとしたら、その素材をいかすためにどうしていくかを
考えるべきなのに、臨機応変に捉えることを忘れて理想論に走っている人が多い気
がします。
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