■漫画家として何年目におなりでしょうか?
高校卒業してからの勘定ですと、2005年に50周年となりました。 あんまり長いという気はしませんね。 アシスタントもたくさんいたけれど、全部お任せするようなことはなくて。 東京オリンピックの時は忙しくてオリンピックどころではなく、自分自身が毎日オリンピックなような感じで(笑)。 連載も何本も抱えていて、その頃ですね「紅蜘蛛」を描いたりしていたのは。 雑誌の読者層の違いによって、輪郭やタッチも色々描きわけていました。 女の子の洋服も、ファッション誌を見て研究して流行を取り入れたりね。 ■漫画家になりたい子に、メッセージをいただけますか。 漫画といっても分野は色々です。 アニメーターのように回ってくる仕事を機械的にこなしていくアシスタント的仕事もありますし、全部自分で創りたいオリジナルな仕事も。昔と違ってどこの部分から入っても つながっていると思いますから、自分は何に向いているのかな?と考えてみる。 どうやって知るかですね。間口も広いし、需要も多いけれど、描いている人もたくさん いますから全体的レベルは低く浅くなってしまいます。 そこから飛びぬけようと思ったら、自分ならではの才能を見つけ出さないと飛びぬける ことはできません。 それには人の助言もありますが、やはり自分自身が気づかないと意味がありません。そうするとある程度苦労するしかないですよ。 試行錯誤する期間というのをどこまで我慢できるか。生活との兼ね合いをどう自分で操作できるかでしょう。 ■先生の場合は、漫画だけでなく歌の作詞もされて大きな賞をお取りなったり 多芸多才ですが。 漫画のセリフと歌詞って、とてもリズムが似ているんですよ。 何か一つ一生懸命にやっていると、いろいろなことに派生します。 例えば、映画のちょい役なんかでも出演したことがありますが、演技そのものの勉強はしたことがなくても、漫画のストーリーを組み立てる上で登場人物の感情を考えて セリフを言わせたりしています。そういう仕事が役に立ったりね。 漫画家の人は役者としても上手いと思いますよ(笑)。 ■イメージができているんですね。 ところで、楳図先生の赤白ボーダーのファッションはトレードマークとなって いますが身につけていることで元気になるおまじないのような? 先生の吉祥寺に建てられている新居も赤白ですね。 高校卒業してからずっとこのファッションです。 田舎にいた頃は服のことなんて全然関心がなくて、母親が買ってきたものを単に着て いたり、ヘアスタイルもずっと丸坊主でしたから。 なので、「自分らしさ」を追求した結果、模様は主張しすぎているように思うし、 横縞は邪魔にならないし僕らしいなと。 赤白は明るくて元気の象徴。この色について聖書にも記述があって、深い歴史がある んですよ。邪気を払う魔よけのような意味もあるようです。 家のテーマは「自然と人工の融合」というメッセージで建てています。 丸い婉曲しているところが自然で緑色。まっすぐで平らな壁は人工。 その上に赤いラインがのっていて、赤というのは生命、人間を表現しています。 それをぐるっと取り囲んでいて閉鎖空間ができれば自然界は壊れないだろう……というメッセージなのです。 環境問題は作品の大きなテーマで、「漂流教室」「14歳」等の作品で誰よりもはやく 描けたと自負しています。ぜひご覧ください。 ■先生のユニークなこだわりが街の皆さんに伝わるといいですね。 では、今の日本に思うことをお聞かせいただけますか。 きまりごとが多すぎて、無駄が排除されちゃっている。余白の部分がもっとほしいですね。子どもができて親になると、成長が止まっちゃう気がします。 ずっと青っ洟をたらして成長を続ける大人でいいと思うんです。 できあがっちゃうのはつまらないです。 あと、みんな年齢を気にしすぎなんじゃないかなぁ。 フランスにいくとエッフェル塔を階段で登る足の不自由な方も見かけました。 体が悪くても、年齢が上でも、目が不自由でも、自分がやりたければできる環境があるっていいですよね。 できない時、困った時だけ助けてあげればいいというのがあちらの考え方だそうです。 ---どうもありがとうございました。 漫画の一時代を築かれた楳図かずおさん。 現在は腱鞘炎のため漫画を描くことはできないそうですが、楽しみなのは復刻版の数々!ちょっとお高めですが、さっそく「紅蜘蛛」(前・後)購入しました! 今の漫画にはない、恐怖と感動、おもしろさを作品の隅々から受け取れます。 また、楳図先生は5ヶ国語をNHKラジオ講座で10年以上勉強されています。 その根気強さは、半端なものではありません。 天才は自分なりの方法や楽しみ方を見つけることが上手なのかもしれません。 これからも楳図作品の復刻版を楽しみにしております! <了> 取材・文/マザール あべみちこ
スーパーフェスティバル46
●「UMEZZ!カーニバル」と題し、楳図かずおのトークに加え、歌と踊りもお楽しみいただけます。開催日時 : 2008年4月29日(火・祝) 於 : 東京科学技術館 開催時間 10:30~16:00 一般参加料 : 大人1,000円 子供(小学生以上)700円 (前売り券・アーリータイムチケットはございません。) http://artstorm.co.jp/sufes.html また、楳図作品の新作フィギュアの販売も予定されていますので、お楽しみに! 今年のゴールデンウィークは、「UMEZZ!カーニバル」で決まりなのらーー! ≫ 詳しくはこちらから |
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