「自己尊重ワークショップ」では具体的にどんなことをワークするのでしょう? まず呼吸法を身につけます。「アーナパーナ」といって、鼻先の自然な呼吸に意識を向けて、吸う息・吐く息を観察します。自然に心身が落ち着いてきます。「呼吸を制するものは、人生を制する」というほど大切なこと。頭で分析するよりも体で実感し、平静さを取り戻していくと、体のサインに気づくようになる。体に痛みがでてきても、あるがままを受け入れ、ただ観察しましょう。体の声を聴けば、心の声も聴こえます。実際、3分間目を閉じて呼吸法をするだけでも…常に忙しくしている人にとっては結構長いものなんですよ。何も考えずに、呼吸にだけ集中してみると、心身のさまざまな感覚の変化が実感できます。 さっそく試してみます! ご著書の中の「自分を許し肯定する」という章でハッと気づくことがたくさんありました。たぶん小さな子どもを育てている時代より、思春期の子をもつ親にとって頭ではわかっていても忘れてしまいがちなことなのではないかと。 自分を責めていじめるより、自分を許し、理解し、励ましてあげるほうが、それだけ立ち直りもはやく、プラスの方向に前進できます。自分にやさしくしてあげられたほうが、自分を否定しているよりも元気になれて、子どもにもやさしくしてあげられるものです。ついカッとなってひどいことを言ってしまっても、そういう自分も認めて「人間だもの、過ちをおかすことだってあるよ。でも気づいているし、悪かったって思っているんだよね」と1回自分を許して認めてあげること。反省はしても責めないことがポイントです。そしてたとえ親子であっても間違えたら素直に「ごめんね」と謝ることも大切です。 自分を受け入れることは「甘え」でなく「心の栄養」という捉え方の表現があります。子どもといい関係を築くには、子どもの話に耳を傾け、気持ちを受け入れてみようと。 講演会でよく質問されることがあります。『子どもを肯定ばかりしていたら、わがままでダメな人間になってしまいませんか?』と。でも「受容」と「甘やかし」は違います。「受容」とは行為を許すことではなく、その背景にある気持ちを受けとめること。例えば暴力やいじめは絶対にいけないことですが、いくら厳しく禁じてもなくなりません。叱るだけでなく「何が悲しくて、そんなことをするの?」とゆっくり気持ちを聴いていくと、家族のなかでの寂しい思いや、自分は大事にされていないという悲しみの感情が見えてきます。そんな感情の奥底の「心の声」を受けとめられ、自分が満たされた気持ちになれたとき、はじめて暴力の連鎖は止まるのです。 ⇒ [3]を読む |
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