夢を次々と叶えているように見えますが、これまで壁を乗り越えた経験はどんなことでしたか? 社会人となって東芝ラグビー部の主将になってから2度メンバーの不祥事があって、その時は本当に落ち込みました。でもそのおかげでラグビーのできる環境に感謝するという意味がよくわかりました。これまでも、もちろん感謝してラグビーをしてきましたが、チームの危機を乗り越えられたおかげでたくさんの人に支えられていることを深く理解できたのです。 廣瀬さんは5歳のお嬢さんと3歳の息子さんのお父さんでもあります。子育てで大切にされていることは何ですか? ウソをつかない、裏表のない関係で接することです。日本代表としてチームに関わっていた時は遠征で1年の半分は合宿でした。そのため妻に子育てを一任せざるを得ない状況でした。かわいい子でも、毎日接すればイライラも募ります。いらだつ時にひと呼吸置くこと。そして、うまくいかないことをおもしろがるのもだいじにしています。 子育てにもリーダーシップ論が有効ですね(笑)。3年後の2019年に向けてどんな準備をされますか? 選手がラグビーに集中してできる環境づくりに注力したいです。ラグビー熱を盛り上げて発展していくにはビジネスとして成立させること。協会任せにせず僕たち選手が一丸となって社会に貢献してラグビーの価値を継続的に高めていく必要があります。子どもたちの「憧れの存在」であり続けるためにも、ラグビーを楽しんでくれるような環境ができたらと思います。僕はビジネスとして取り組むためにスポーツマネジメントを学んでみたいです。 本のタイトル「なんのために勝つのか」の想いを最後に、読者へのメッセージとしてお願いします。 大義を実現するためです。メンバー全員が大義をやり切る覚悟をもち、明確なビジョンに向けてハードワークを継続すること。特別なノウハウも近道もありません。信じた方向に向かって地道に積み重ねるだけ。大義を成し遂げたときの高揚感、充実感は何物にも代えがたい。南アフリカに勝った瞬間は、言葉では表現できません。個人一人ひとりが、誰かに求めるのではなく、自分から与えられるようにすること。そして自分に何ができるのかを考え続けること。失敗しても次にいかせばいいんです。成功すれば自信になるし、周囲だって変わっていきます。自分の行動が、世の中に役立つという喜びをもって歩んでいく。勝つことは結果論ではなく、その過程こそが人生を豊かにしてくれるものです。 ---ありがとうございました! <了> 廣瀬俊朗 書籍紹介
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