高校生まで金沢で過ごされ淡い恋愛も経験…。大学生活で、女性ではなく男性しか愛せない自分に気づかれた? 大学生の頃を振り返ると皆楽しそうに思い出話をします。僕も楽しかったのですが、その頃はまだどこかで「男性を好きな自分」を認められなくて、バレないように過ごしていた。いってみれば薄いオブラートで壁を作っていたので、誰かとぶつかって熱い討論を交わしたこともなくて。自分のポジショニングもよく観察して見極めていましたがカミングアウトするなんて発想はなく、ゲイだとわからないよう、さらっとほどよい距離感で相手を遮断していました。 なんでも要領よくこなせそうな印象のゴンさんですが、子ども時代の習い事は何かされていましたか? そろばん塾はすぐ辞めました。続けていたのはバイオリンです。父が先生でもあって「自分のやりたいことをやりなさい」というのが基本ポリシー。両親から勉強しろとか宿題しなさいと言われたことがありませんでした。バイオリンは家の中にレッスン室があって他の生徒さんと同様にその部屋に入ると「先生と生徒」の関係でした。小学1年生から中学1年生まで続けていましたが、中学生になってから、楽器を演奏できる男子は女っぽいイメージがあって辞めました。つまり「こっち側にいるのは危ない」…というサインをキャッチして。辞める時も父からは特に何も言われず「それは生徒さんの選択だから」という感じでしたね。小学生時代に一番得意だったのはゴム飛びです(笑)。 遊びも女子力発揮!でも、そういうご自身のことをカミングアウトするまでに時間が掛かったのですね? 兄が仕事の関係で精神的に参っていた時、僕は大学5年生となりこれからオーストラリアへ留学する頃でした。医者からは『家族が支えてあげてほしい。いろんな話をしてあげて』というアドバイスを受けたので、この機会に兄には話そうと決め、正直に伝えました。意外なほど冷静に受けとめて『体には気を付けるように』と。両親に言うのはまだ早いと判断して、ずっと黙っていた。その後、弟にも話す機会をもちましたが、弟も冷静に『言ってくれてありがとう』…と。両親へ話すことができたのはつい4年ほど前のことでした。 カミングアウトへの道のりは著書を詳しくお読みになって頂くとして、ゴンさんの観察力は小さな頃から培われてきたのですね。 サバイブするためのスキルでした。僕の通っていた学校にも少なからずイジメがありましたが、いじめる側いじめられる側、先生、みんなと仲が良かった。それがゲイである自分を守る術でした。バランス感覚を考えていたわけではなく、自ずとそうなった。ゲイって学生時代に生徒会長をやってきた人が多い。僕もそうですし、周りに知る限り10人位います。男女ヒエラルキーの外にある存在だからです。リーダーシップをもって皆をまとめたいというより、皆と仲が良いのは自分を目立たない「無の存在」にするための手段。だから積極的に挙手をしてなるというよりも、そういう流れをなんとなく作っていた。生徒会長は誰にも触れられない、サンクチュアリのような存在でした。 ⇒ [3]を読む |
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