子育てひろば「あい・ぽーと」青山の他に、「あい・ぽーと」麹町をおつくりになり、そこでシニア男性が運営する「カフェ」を誕生されました。この試みもユニークですね。 私が関わっているNPOの子育て支援活動のコンセプトは「子育て支援は親支援」であり、老若男女共同参画で地域の育児力の向上を目指そうというものです。そのために地域の「子育て・家族支援者」の養成を始めて10年です。すでに港区・千代田区・浦安市・戸田市・高浜市で1600人を越える支援者が誕生して、地域の子育て支援に活躍して下さっています。そのほとんどは女性だったのですが、4年前に団塊世代男性を対象とした人材養成(子育て・まちづくりプロデューサー:愛称まちプロさん)を始めました。「現役時代の名刺で勝負!」とうたって。団塊世代の男性たちは高度経済成長を築き、低成長期の厳しい国際競争を生き抜いてきた方々です。それなのに定年後は家庭でも地域でも居場所がなくて。もったいないです。企業人・組織人として培ってきたスキルを今度は地域に活かしてほしいと願っての企画でした。キックオフフォーラムを六本木ヒルズで行いましたが、「現役時代の名刺で勝負!」が胸に響いたとのことで、全国各地から350名余り集まりました。 世代も性別も越えて、子育て支え合いのモデルケースですね。情報発信地となりそうです。 私が「母性愛神話からの解放」を訴えていた先に2つ実現したいことがありました。一つは、母親たちが孤独な子育てから解放される「子育てひろば」を作りたいという思い。そこで活躍する中高年の支援者にとっては、地域貢献の場となることでもありました。もう一つは、国や自治体の施策に関わって新しい制度を作っていくこと。この2つが博士論文の『母性の研究』、そして『母性愛神話の罠』で問うた答えです。 私の場合は子どもが小さい時よりも、ある程度育った今「自分の子育て失敗だったのでは?」と振り返ったりするのですが…。 子育てに失敗などありませんよ。子どもを育てることは大変さも喜びもあって、それは子どもがいくつになっても、ずっと続くものだと思います。どんな時でもあきらめずに関わり続けることです。特に思春期は親の力が試される時です。子どもを信じて、そして待つことです。それから、子どもは「授かりもの」とよく言いますが、私は「預かりもの」だと思っています。「授かりもの」だと、親は自分の期待通りにしよう思いがちではないでしょうか。でも、私たちは子どもから子どもの命と人生を預かっているのです。子どもが自分の人生を決めて歩んでいく。それを傍らで見ている時には、いらいらしたり嘆いたりすることもあるでしょう。それでいいんだと思います。でも、どんな時でも子どもを見捨てずに、関わり続けることが大切で、それが親の使命ではないかと思っています。 なかなか親も成長できずにおりますが…おっしゃる通りですね。では最後に、「母性愛神話の罠」にハマって心折れている母たちへエールをお願いします。 私は「母性愛神話からの解放」の必要性を訴えてきましたが、子どもを愛する大切さは一度も否定したことはありません。子どもは愛されるために生まれてくるのです。ただ、その愛は母親だけが注げるとは限らないということです。母親も勿論ですが、父親や祖父母、地域の方々など、いろいろな方々の愛情に守られて育っていってほしいと思います。そのためにも、母親が一人で子育ての大半を背負わなくてはならないと思い詰めず、むしろ、周囲の人のお力を上手にお借りすることが大切です。そして、母親であると共に、一人の女性として、社会人としてのご自分も大切にしてほしい。それが心から子どもを愛し続けることにつながると信じています。 ---ありがとうございました! <了> ●大日向 雅美?書籍紹介
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