普通の高校生よりもずっとハードな毎日だったと思いますが、バレエの道を究めるきっかけになったのはどんなことで? 練習を重ねて本番の形を作るコンクールに出場させてもらう中で気持ちが固まった。高2の時、バレエで食べていけたら幸せだなと思うようになって不安はありましたが両親にそれを話したら「どうぞ」と言われて(笑)。僕は調子に乗ってしまうタイプなので、バレエの先生から褒められたことなんて数少ないです。僕の様子が少しでも違うとすぐ気づいて指摘されました。「天狗になったらダンサーは終わり」という信条の指導でした。 褒めて育てなくてもこんな風に伸びるわけですね。輝かしい経歴は誰もが達成できることではありません。 決して順風満帆ではありませんでした。コンクールで賞を獲って自信もついて海外留学したものの、ジュニアバレエ団というのは若手育成の組織で12名位しかいません。その中で一年目は何も役がつかず、日本で培ってきたはずの自信がゼロになった。ストレスで食べ続け太ったりして。ところがバレエ団の出演メンバーが怪我をしてしまい、急きょ代役が必要になったので踊ることになりました。それを見た芸術監督が「よかった」と褒めてくださって監督の態度が少しずつ変化して……たぶん、それまでは僕がいることすら気づいていなかった。会社組織でも同じかもしれませんが、そこに居ると存在感を示さない限り使ってもらえないのだと思います。踊る量が増えていって、そこからやっとチューリッヒでの生活が始まった気がします。 バレエダンサーの卵を育てている親に何かメッセージをお願いします。 僕の子どもの頃、親がバレエスタジオに見学とかこなかったです。僕だけでなく他の友達の家もなかったです。レッスンそのものだけでなく、教室の行き帰りの道を独りで通い、友達と一緒の時もあったけれど、そういう過程って心を育てる気がします。今も子ども時代に一緒に通った仲間とは仲が良いです。親はやさしく見守ることも必要だと思いますが、時には離れてみるのも大切なのではないかと思います。僕は将来自分の子にバレエをやらせたいとは思っていませんが、バレエをやりたいと希望するなら、全力で応援します。親として、その子がやりたいことを見つけるまでの導きはしたいですね。 12月公演の「シンデレラ」では王子様を演じられます。見どころを教えてください。 クリスマスは心温まりワクワクするもの。舞台で夢を見せるのがダンサーの仕事です。役になりきるには、所作をはじめ気持ち、心が大切。王子ひとりではステージは成り立ちません。シンデレラ、王子をはじめ、色々な役柄のダンサー達が「シンデレラ」をいう物語の中に誘ってくれると思います。ぜひ、新国立劇場に足を運んでいただき、心温まるバレエをお楽しみください! ---ありがとうございました! <了> ●福岡 雄大?出演情報
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