ダンサーとして、そして父として、たくさんの経験が人を惹きつける創作につながっている気がします。「NINJA」は全国各地で上演されますね。 ありがたいことに全国各地からお声掛けいただいて、これまで新国立劇場で積み重ねてきたことを披露できることをうれしく思うのと同時に、責任も感じています。どの地域の子どももかわいいし、彼らに会いに行く感覚です。僕を変えてくれた劇場という空間で、何か感じてもらって、舞台の世界に入らずとも何かの刺激を受けてもらう場になるといいなと思います。 夏休み前までの初夏にかけての公演ですが、森山さんご自身の子ども時代の体験が作品に盛り込まれている? 公民館とか、神社とか、小さな川っぺりに子どもたちで集まって忍者ごっこをしたり、クワガタを捕ったりできた自然環境がありました。作品では忍者って何だろう?という想像から始めようと。固定された忍者のイメージから少し離れて空想して、ダンスという身体表現で忍者を演じる。いろんな発想で忍者に迫っていきたい。それが創作ダンスの魅力でもあります。幼少期の経験があるからこそ、発想につながります。 言葉ではなく、しゃべらない身体表現ならではの忍者。どんなのだろう?って楽しみです。 小道具や衣裳、照明など、舞台を創るうえでいろいろな要素を加え、使いながら身体表現を軸に忍者を生みだし、発見や驚きがあったらいいなと思っています。忍者とは「忍ぶもの」。昆虫、動物など自然界に生きるいろんなものとリンクしているかもしれませんね。 今後ダンスを通じて、どのように活動を広めていかれたいとお考えですか。 年齢、経験を重ねる中で感覚も変わってきて、ダンスの喜びや豊かさを伝えたいと思うようになりました。40代になり、これから迎える50代,60代は未知数で楽しみでもあり不安でもある。そういう意味ではまだまだダンスを語れない。ひとつずつ舞台を大切に続けてゆきたい。僕は手取り足取り教えるのが苦手なので、子ども達にダンスの楽しさを見せられることが救いです。そういう機会を持ち続けたい、と思っています。体を動かそうとすることが大事。ダンスは地面から吸い上げたエネルギーを体の中を通して枝葉となって出し、それが落ちてまた吸い上げて踊る。 エネルギーを循環させているんです。動かないと途端に精神が崩れます。頭の中で考えすぎていると回っていかないものです。 大人が必死になって夢中になって生きている姿を、子どもたちに見せることができたらいいな、と思っています。そして共に一緒に楽しんで生きていきたい。 ---ありがとうございました! 2019年4月取材・文/マザール あべみちこ 森山 開次 公演スケジュール
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