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■「宇宙飛行士になりたい」という夢をもつ野口さんに、ご家族や周囲の皆さんにはどのように激励されてきましたか?
高校時代は自分の夢を友達に語るということはなくて、むしろ自分の中だけでそうした意志をもっていましたね。親には、この夢を語った覚えがありますが、
「突拍子もないことを言っているな」くらいに思っていたのではないでしょうか(笑)。
1980年代はまだ日本人の宇宙飛行士がいませんでしたから、それが仕事になるかもわかりませんでしたしね。親にしてみれば「言いたいことを言わせておけ」という感じだったのではないでしょうか。
現実からかけ離れた夢だったからこそ、「やりたい勉強をやってみたら」という考えになったのだと思います。
■宇宙飛行士になるために、どのような勉強をされてきましたか。
飛行機の勉強や宇宙のことを調べるのが好きでしたので、大学(東京大学)に入学後、航空宇宙工学学科で勉強することにしました。
宇宙飛行士になりたいから、何か勉強するというのは逆にあまり無いものかもしれません。あるとすれば、軽飛行機に乗るとかでしょうか。僕はエンジニアでしたので、早く国際的な舞台で活躍できるくらいの技術力をもった人になりたいという気持ちはありましたが、宇宙飛行士になるための特別の準備というのは思いつかなかったですし、やりませんでしたね。
■技術者としての一つひとつの積み重ねによって、夢を実現されたということでしょうか。
結果的にみれば、そういうことです。
必ずしも宇宙飛行士になるためにすべてが進んでいたわけではなく、高校時代の「スペースシャトル」、大学時代の「航空宇宙工学」、IHIという宇宙関連の企業に入社したことなど、すべてがつながる気がします。
でも僕はその時々、そうしたことを宇宙飛行士になるために選んできたわけではなく、回り道をしながら、結果的にいい方向へ進めたわけです。
■野口さんのご家庭では、どのような教育方針で?
父親として伝えていらっしゃることとは?
私自身が、その時々で好きなことやりたいことを一生懸命にやってきたので、
子どもたちにも好きなことやりたいことに熱中できるようにしてやりたいと思います。
人生にはいろいろな選択肢がありますから、そういうことを見せてやりたいと。
その後で、何を選ぶかは自分たちで決めればいいことだと。
■宇宙飛行士になりたい夢をもつ子は多いです。どのようなことを身につけて
ほしいですか?
宇宙飛行士になるためにというよりも、大人になってから自分の好きなことを仕事にしたり、夢を実現するためにメッセージしたいのは、体を鍛えておくことも大切ですし、大勢の人と一緒に何かを作り出すチームワークをいろいろな場面で身につけることも大切。
日本以外のフィールドで働くという可能性を求めるなら、語学の勉強をすることも大切。ただ、やはり「これはおもしろいからやってみよう!」と思ったことに突き進んでいけるだけの「バネ」、心のゆとりをもって生きていけるような「馬力」を培ってほしいですね。それは、常日頃の「やる気の積み重ね」で身に付くものですから。
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