寡黙なお父様でいらしたとのことですが、ご家庭の方針などはいかがでしたか。ご自分の幼児期に通じる方針は、お父さんになった今、髙田さんはどのように実践されていますか。 親父は女性的な面のある父親でした。料理や家事全般うまかった。あまり細かなことは言わなかったですが、うそをつくな!何事もまじめにやれ!挨拶を忘れるな!そんな当たり前のことだけは家のなかで暗黙のルールでした。今、我が家には4歳の双子がいますが、「ご飯は楽しく集中して!」といっても、なかなか集中できずに手こずっています(笑)。 一番かわいくて手のかかる時代ですよね。では、髙田さんご自身が信条とされていることとは? 時間を大事に生きよう、ということです。人間は限られた時間の中で、アグレッシブにポジティブに物事にむかっていけるようにしたい。人間だからこそ「死」を前向きに捉えることもできる。時間を垂れ流すようにダラダラと使うのは勿体ない。自分のなかで意識して、一日の時間を組み立てるようにしています。外で身体を使って、子どもであれば夢中になれる時間を日々積み重ねる事こそが時間を大切に使っている証だと思います。 時間を大切にするというのは、子ども時代には中々意識できないことですよね。大人になって初めてその貴重さに気づくというか(笑)。では、これから取り組みたいことなどは? 毎日の積み重ねを大切に、やりたいことを続けていくことですね。心の毒を吐き出すことと先ほど申し上げましたが、その「吐き出す場所と時間」を保持することが、子どもたちの「らしさ」を作っていると思う。学校以外の場所で体験させてほしい。ぶつかりあって汗を流すスポーツを通して、勝つ喜び、負ける悔しさ、人の痛みを知るわけです。ライオンがじゃれ合うのは本能で、狩りに役立つようにするために、じゃれ合っているんですね。ある意味、人間にも同じことがいえます。 今、「モンスターペアレンツ」という常識では考えられない言動をする親が増えています。子どもも委縮して心の中を吐き出せなくなってしまう。髙田さんは、こうした現状をどうお考えですか。 知人の空手道場で、練習で鼻血が出ると怒鳴り込んでくる親がいて、残念ながら辞めていかれるそうです。子どもを磨く場所で何を言ってるんだ!と思いますね。そういう場合は毅然とした態度で伝えませんと。あるいは「試合で負けたから」、「うちの子を出してもらえない」…など色々な理由をつけてすぐスポーツの習い事を辞めさせる家庭も多くなっています。子どもにそういう思考のしわ寄せがいっているのに気付かないのでしょう。心の毒を吐き出す場所と時間を子どもから奪わないでほしいですね。 ---ありがとうございました。 <了> 第10回ダイヤモンド・キッズ・カレッジ
6月8日(日) ●スポーツ新聞 デイリースポーツ 「本部長 髙田延彦 男なら読めや!」 (毎週水曜日連載) |
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