でも、芸大付属高校を目指すのは、誰もが小さな頃から音楽を学んでいるいわば天才児。高校だけじゃなくて、大学に進まれてからも首席でご卒業されていらっしゃるんですよね。 確かにそうなんですが、優秀とかではなくて。大体、高校入試の際も、「きみのような実力で芸高に入学した歴史はない」と言われ続けていましたし。大学でも教授のネタに何となくこいつにしとくかみたいなノリで選ばれた気がしますね(笑)。 天下の芸大首席をくじ引きで選ぶようなことはありませんよ!今までどのくらいの練習をされてきたのですか? 芸高入試の時は、学校の無い日はご飯を食べる以外はずっと練習する日もあり、気づいたら最大14時間位狂ったように弾いている日もありました。受かりたい!という気持ちも強かったです。家には半地下の部屋があって、夜は練習に使いたい放題でした。芸大付属高校へ入った友達とはお互いに刺激しあえる関係でした。 ご家族皆さんが音楽をされていらして、自然と楽器を手にされて。やはり小学生時代も音楽を演奏しているほうが好きでしたか? いえいえ、練習は嫌いなほうでした(笑)。小学生時代は野球クラブでしたし、父とはよく山に山菜やキノコを採りに行きました。僕は、ヴァイオリンと出会っていなかったら天然キノコ入りのラーメン屋さんをやっていたと思うんです。天然のキノコってすごくおいしいんですよ!毒入りだったら大変なんですけれどね。音楽って、練習はもちろん大切です。でも、僕自身のことを振り返ると、小さい頃、外で うんと楽しく遊び、そこで感じてきた風や光、色や声の記憶が今のぼくの音楽に反映されていると思います。だから、北海道で自然に囲まれて育ったことに感謝しないといけないですね。 NYへ行かれて活動されていた時期もありました。どんな目標がございましたか? 自分が何をやりたいか見極めたかった。仕事が忙しくなって、追われるように過ごすようになったのでNYではじっくりと自分を見つめ直すことができました。その結果、見えてきたのは表現したいことの後に、テクニックがついてくるということです。音色をどう出せるかよりも、どんなことを音色にしたいかなんですね。 |
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