今、指導者として子どもたちと接する立場になりました。選手時代と比べて楽しさや喜びという点で、いかがでしょうか。 できなかったことができるようになる、という体験はうれしいものです。また、幼い頃に体験した「勝った喜び」は、大人になってからも鮮明に記憶しているものです。大人になっても同じように「勝つ喜び」を味わえるのは幸せです。もちろん勝敗だけが目的ではなくて、勝つまでのプロセスがあってこその感動ですが。 ものすごく厳しい環境でサッカーを続けてこられて、「もう辞めたい」と思われたことはありませんでしたか? 小学生時代は特に強豪チームで厳しい監督でしたし、家では父がとても厳格でしたから、どこにも逃げ場がありませんでした(笑)。よく続けてこられたと思いますが、母の存在も大きかったようです。これは、つい何年か前に母に言われて気づいたことですが、「私は、あなたのことを一度も怒ったことがなかった」と。改めて振り返ると、母には本当に怒られたことがない。それは、家庭内では父が怖い立場でしたから、母がバランスを取っていてくれたのでしょう。辞めたいというのはありませんでしたが、思春期になってからは、親から何か伝えることがある時は置手紙をもらっていました(笑)。 この子は才能がある、と指導をされていて感じられることもおありと思います。どんな子が伸びると思いますか? あきらめずに続けられる子です。例えば、サッカーのリフティングも100回続けられるようになるまで、最初は何度も失敗して続かないものでしょう。「ああ、もうできないや」と放り出してしまうか、できるようになるまで頑張って続けて練習するか。自分の限界を決めてしまうと、伸びるものもそこまでになってしまう。 なるほど。では、ゲームに勝つためにはどんな練習、心構えが必要でしょう? 僕は、スポーツは「表現」することだと言っています。つまり、練習で何をしてきたか、結果を出せるも出せないも、その人がどんな人間性かに掛かっています。予期せぬ出来事に、とっさの判断でどんな対応をするか、その人間のすべてが出てしまう。全身の筋肉を鍛えるだけでなく、心の瞬発力も鍛えることが大切です。サッカーだけでなくスポーツを通じて心身共に鍛えていると、大人になってからの考え方にも一本筋が通る。子どもたちが困難な時代でも生き抜いていけるよう、これからもサッカーを通じて応援していきます。 ---ありがとうございました! <了>
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