お話しを伺ってると、3.11の原発事故そのものだけではなく、日本は戦後「戦争放棄」といいながら恐ろしい核を「原発」という形で保持し続けてきたという歴史がよくわかります。肥田先生は、これからの日本がどうあるべきとお考えですか。 多くの団体が「被爆者救援」と「核兵器廃絶」を訴えますが、彼らの救援はお金を持っていくこと。寄付を募って被爆者へお金を届けてきました。当時は、被爆者は何もかも失って貧しかったのですが20年、30年たったら自立が必要なのです。お金を与える救援活動は正しくないと私は思ってきました。被爆者が失ったものは人権です。被爆者の多くの二世が被害に遭いました。結婚も就職も被爆者の子どもだとわかると断られたのです。だから多くの人が被爆者の二世であることを隠しながらコソコソと。爆弾を落としたほうが悪いのに、落とされた方がこんなふうに生きるのはおかしい。「堂々と被爆者であることを名乗って生きなさい。そして被曝がうつるなんていう人がいるのなら、どうやってうつるのか医学的に証明してくれと言いなさい」…私はこう言ってきました。被爆者の人権を回復することが救援なのです。これから福島でも、まったく同じことが起こります。 たとえ被曝をしていても、どうすれば放射能の影響を最小限に留めて長生きすることができるのでしょう?何か秘策があるのでしょうか? 自然放射線に対する免疫力を長い歴史をかけて人は培ってきた。だいぶ強くなったけれどゼロではない。どれだけ残っているかというと世界中で産まれる赤ん坊10万人のうち残念ながら2人は放射線の影響を受け、先天性異常をもって産まれる。 基本的な習慣、規則正しい生活パターンを守ることが免疫力をあげるのでしょうね。 いったん身体に取り込まれた放射線は取り除くことはできません。しかし、そうならないために、あるいは放射線からの被害を最小限にするための体づくりはできます。放射線への対抗策は医者や薬に頼るのでなく、患者自身でしかできない。日本に住んでいる限りもう皆被曝してしまったと割り切って考えるのがいちばんいいのです。被曝したうえでどう健康を保って生きるかを考えるべきです。広島で被曝して生きながらえている人は、自分の被曝体験を受け入れたうえで、放射線について勉強したのです。そうした姿勢は、現在の被曝問題の解決につながっていくと思います。 最後に、私たち親が子どもを守るためにできることとはどんなことでしょうか。 さきほど述べた6つの原則「寝る、食べる、排泄する、働く(精神的と肉体的と両方)、遊ぶ(休養も含めて)、セックスする」を親が身をもって呈して、しっかり子どもへ習慣化すること。子どもにだけやらせようとしてもダメです。まず親が見本を示さないとね。食べることは特に、時間がきたから適当に済ませるというのではなく、その時間が楽しみになるような食べ方をしてほしい。今は排泄することも、毎日できない子がいるようですが、これも毎日時間を決めて習慣化するんです。うんちが出たら子どもに自分で臭いをかがせる。「臭くて嫌だ」と言っても、それが自分のお腹にあったものなんだよ。だから外に出す必要があるんだということをしっかり伝えてほしい。6つの原則すべてを大切にすると健康に生きられます。 ---ありがとうございました! <了>
活動インフォメーション
●7.11放射能対策講演会第二弾! 「3.11から1年4カ月を経過した今。私たちは放射能汚染から、どう身を守るべきか?」
PDFファイルをご覧になるためにはAdobe Readerが必要です。 ●肥田舜太郎さん書籍情報
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