松永先生は今の受験システムにも一石を投じています。例えば中学受験での大手塾のビジネスについてバッサリと本当のことを書かれていますが、ご自身のV-netで取り組まれている教育とは? もうこの先、日本の学校教育はよくなっていかないでしょう。V-netでは単に受験に勝つスキルを身につける勉強を教えるわけではありません。ここの扉を叩く親たちは、個々様々な悩みごとで相談に来られる方々です。ある意味で、ここに相談へ訪れていることで答えが出ているし、結果的に騙されない人と言えるのかもしれません。自分自身のしっかりした価値観をもっていない人たちは不安を掻き立てられると必ず引っかかる世の中です。また、満員電車の中にいるほど情報に囲まれているということを自覚できていない人も多い。V-netは勉強ができるようになる前の状態から考えてあげる場です。まず子どもの精神状態が健康で活発にならなければならないと思います。 受験はひとつのきっかけに過ぎず、迷いがある時は一緒に考えてくれる人がほしいんですよね。そういう意味でV-netは迷える親に心強い存在です。松永さんはこれまでの体験のなかで何が一番生き方のベースとなっていますか? 僕は大学時代に友達と3人でムンバイ(インド)→パリ(フランス)の自動車旅行をしました。家庭教師が本格化したのはこの資金造りのためでした。日本から出る。次々と未知の地域を旅して行く。何度もこれはヤバいという目に遭う。でもそれが過ぎると、生きて行動の自由があることを心から幸運である様に思えてくる。また外から日本人社会を見ると、これはかなり特殊な社会であることが分る。その体験もあって、自分のやりたいことを追求しながら、既成の日本社会に沿わない生き方をしてみようと思い立ったのです。解決困難な限界的体験とその克服こそが後の人生を切り開く基になるのだと思います。子どもが転んで足が痛い。でもそれに耐えて自分で立ち上がることを覚えるのと同じです。 親が模索したことがないと模索=不幸という構図みたいですが、実は模索こそ人生の基礎。受験の手法だけ身について成長すると、心が折れやすくなってしまうの、そういうところに原因がありそうですね。では、10歳までの子育てで勧めたい体験とは? 問題解決能力を身につけさせるには、キャンプや体験合宿などで自然の中に放り込むのが最善策です。テント張り、料理、たき火など一切を子どもに任せてみて親はアドバイザー役として手を貸さない。子ども同士で準備から片付けまでできるだけ一切を仕切らせるのです。そうすることでお互いが知恵を出し合って「どうすればいいか?」を探って乗り越えようとする。乗り越えられると自信につながります。こういう体験があると、日常でも自分で解決しようとするようになるんです。親が介入しないという子育ての仕方、与えるばかりが子育てではないことを親にも知ってほしいです。男の子を男に導く男性ホルモン=テストステロンの分泌は、10歳頃から急激に増加していきます。それまでに男の子を充分に活性化させるために、10歳までに親は、あちらこちらへ連れて行ってほしいですね。もうその後は時間の問題で親とは行動しなくなっていくのですから。 生きる力って、そういう実体験でしか培えないものですよね。それでは最後に、V-netや書籍を通じてどのような教育活動を今後展開されたいですか? そうですね。今やりたいことは自分が開発したメソッドを広めたいということですね。多くの子どもの福音になると信じます。僕が開発したメソッドは、どれもすごく単純です。しかも、子どもにどうしても身に付けさせたい事柄の最低限をクリアしている。日本語一音一音音読法、抽象構成作文法、ダイアローグ、サイコロ暗算学習。つまり、日本語が読めて書けてしかも頭の中で暗算できる。後は活性化の習慣と「なぜ?」「なに?」という好奇心を高めることのみ。小学生の子どもたちに最低限与えたい基礎学力はこれだけ。後は自分のやりたいことをやらせるのが良い。これさえできていれば、後はその子どもが14歳になって自分から学ぼうとした時、メキメキ学力を伸ばすことができる。自分がしたくなったら思いっきりするのが学問です。そのためには男性としてのエネルギーが高まっている必要がある。それには近所で友達と擦り合って遊ぶことが一番大事。お母さん同士の結びつきを強くして、もっと男の子が遊ぶ機会や環境を整えてあげてほしいですね。そういった意味で大いに焚火をすることを勧めてやがて小学校の校庭でできる様にしたいですね。 ---ありがとうございました! <了>
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