マジックの技はどうやって身につけるものなんですか? 本から習ったり、今はDVDなどからも伝授されます。でもそれは、たとえば料理にしても、いい食材を買ってきてもいい料理はできませんよね。それと同じで、手順や加減、そして経験や勘、センスが問われて初めておいしくなる。トリック自体はカンタンなものです。実は、芝居の演技力や自己暗示力というスキルも重要で勉強しています。 プロのマジシャンになる!と決めたのは何かきっかけがありましたか? どれだけそれをやりたいか?だと思うんです。本当にやりたいことなら頭では絶対ダメとわかっていても、心と体が承知しない。僕は行動が先になるんです。やってみたらうまくいく。頭で考えてからやることはかえってダメだったりします。とはいえプロのマジシャンになる!といっても一番食えなかった時代は年間6回しかマジックショーに立てなかった。ずっとアルバイトで生計をたてている時代がありました。双子の弟が東京で仕事をしているので一緒に暮らして、半年間くらい弟に食わせてもらっていたことがありました。でもこれじゃイカン!と思って、生計を立てていたバイトを全部やめて、マジシャンの仕事を真剣にやろうと覚悟を決めました。仕事のあてなんて何もありませんでしたが、いろんな人とのつながりでマジシャンとしての仕事ができるようになりました。 本当にやりたければ、腹を据えるという決意が必要ですよね。マジシャンとして日々心がけていらっしゃることがあれば教えてください。 そうですね。おもしろい勉強では、女の子にどうやって声をかければいいのか伝授してくれるナンパ師に教えを請うています。お客様とコミュニケーションを取る時にすごく役立つんです。いろんな手法がありますが僕が習っているのは「相手に同化する」手法。先生の本業は催眠療法士で心の病気を治す仕事ですが、そういうテクニックをナンパに用いているんですね。それと変わったところでは気功の練習法が対人関係で役に立ちます。マジックはその瞬間に人の心を捉えるのが大事です。うまくいかないことはたくさんありますから、どうやってそれをうまくいかせるかを考えると、やることはいっぱいあります。自分がどう見えているのか考えるとうまくいかない。自意識過剰になると緊張するので。緊張を取るのは簡単で相手に集中すればいいのです。 マジック以上にますます雷人さんのおもしろさがわかってきました(笑)。では最後に、雷人さんが大切だと思う信条をお伝えいただけますか。 言葉の暗示力って大きい。例えば「○○しないで」「○○やって」という禁止や命令よりも「○○しましょう」という呼びかけのほうが心に届く。あるウサギ小屋でいじめ事件があったので看板を立てたんです。「ウサギをいじめないようにしましょう」という看板では激化したのに「ウサギをかわいがってね」と書いたらいじめが止んで断然かわいがる子が増えたという話があります。子どもには行動がイメージできる言葉掛けが大切なのだと思います。ダメだダメだとできないことを叱るよりも、こんなこともあんなこともできるという可能性のイメージを伝えたい。自分の子どもには好きなことをやらせてあげたいですね。嫌ならやめればいいんですから。 ---ありがとうございました! <了> ●雷人さん活動情報 3月出演情報
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