日本舞踊のおもしろさはどんな点にあるのか、どうして日本舞踊を習おうとするのかぜひお聞かせください。 日本舞踊をやっている人は、大体お母さんやお婆ちゃんがやっていたから…という方が多い。家族で誰も日本舞踊に縁がなかったとしても、やりたいと思う人をもっと増やしていきたい。中学三年生で芳次郎を襲名した時に「せっかく家業を継ぐ立場におかれているのなら先祖が築いてくださった伝統は守り、なおかつ自分の色をつけ大きく成長させよう」と思いました。もちろん日本舞踊の古典は大事に継承しつつ、伝統に加えて創作や自分だからできることをプラスαしていくことにおもしろさも可能性もあるのです。私がこの先変えたいと思っているのは日本舞踊の何かというよりも、そういう内面的、意識面のようなところなのかもしれません。 敷居の高さを感じさせない日本舞踊になるといいですね。外国のお客様を意識した取り組みは何かされていますか? 海外公演は無いわけではありません。ただ、アメリカ、ヨーロッパなど観劇文化が定着している国での公演がほとんどです。観に来てくださるお客様は日本に関わりのある方が多いのではないでしょうか。ただ公演を開催するだけですとお客様の裾野が広がらないので、現地の小中学生、その保護者向けに体験型ワークショップのようなものを企画していきたいと思っています。まずは着物を着てもらう、お扇子を持ってもらう…つまり日本の伝統文化に触れてもらえるだけでも良いのです。敷居が高いという固定観念を崩すことが大事で間口を広げたいですね。例えば、日本国内で言ったら英会話を習いに行こうという感覚で、日本舞踊も考えてもらいたいなと。 中高時代の留学経験がおありだとお聞きしていますが、こうした思考に結びついているのでしょうか? そうですね。僕は中2、高1の2回、数週間イギリスに短期留学を経験しました。異国で同年代のヨーロッパの友人が自国文化を紹介しているのをすごいなぁと。芸術に国境は無い。僕も世界に日本舞踊を紹介できるようになりたいとその時思いました。自国文化に興味があれば他国も知りたくなります。海外へ自国のことを伝えるのは、そういう相乗効果があります。例えば、日本舞踊の「間」は日本ならではの感覚ですが、海外では「カウント」という概念に置き換えれば伝わります。ちょっとバレエのようですが、イメージは理解しやすいはずです。 現在早稲田大学人間科学部の3年生でいらっしゃいますが、現役大学生の日本舞踊家となると、就職活動をする他の学生とは少し違う立場ですが、これから何を学んで世の中に還元されたいとお考えですか? 将来、大学で得た知識をどのように日本舞踊という全く違った分野で役立てることができるのか、そんなことを考えています。たとえば私の学んでいる心理学や統計学、異文化間教育などの観点から、総合的に捉える視点がたいせつなのではと思っています。そういう意味で大学では踊りだけでは吸収できない何かを日々吸収しているのだと思います。それを上手く結びつけるというのがこれからの課題ですね。 ---ありがとうございました! <了> ●花柳芳次郎さん活動情報
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