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中学受験ビジネスの実態に迫るジャーナリスト 横田増生さん

中学受験ビジネスの実態に迫るジャーナリスト 横田増生さん

中学受験ビジネスの実態に迫るジャーナリスト 横田増生さん

中学受験ビジネスの実態に迫るジャーナリスト 横田増生さん

中学受験ビジネスの実態に迫るジャーナリスト 横田増生さん

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中学受験ビジネスの実態に迫るジャーナリスト 横田増生さん

横田 増生 (よこた ますお)さん

ジャーナリスト。1965年福岡県生まれ、関西学院大学を卒業後、予備校講師を経て、アメリカ・アイオワ大学ジャーナリズム学部で修士号を取得。93年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務める。99年よりフリーランスとして活躍。著書に『アメリカ「対日感情」紀行』(情報センター出版局)、『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』(朝日文庫)、『ユニクロ帝国の光と影』(文春文庫)、『フランスの子育てが、日本よりも10倍楽な理由』(洋泉社)、『評伝 ナンシー関---「心に一人のナンシーを」』(朝日新聞出版)など多数。近著に『中学受験』(岩波新書)。

息子が通った受験塾から感じた違和感。

ちょうど去年の今頃、こんな本を書こうと思って取材している…とお聞きして私も微力ながら協力させて頂き、この新刊とてもおもしろく拝読しました。こういうテーマって体験談を踏まえての話だけでもおもしろいのですが、横田さんの場合は裏付けデータもふんだんで、なおかつたくさんの方へ取材もされてコメントを取っている。だからすごく信ぴょう性があるし、「中受ブーム」の事象の捉え方が冷静です。まず、この本を書いたきっかけを教えてもらえますか。

当初、息子の中学受験を念頭においていろいろな関連書籍を読み漁りました。私立中高一貫校はまるで「夢の楽園」といった描かれ方で、読めば読むほど果たして本当だろうか?書かれていることだけを理解すればよいのか?…という、不安というか違和感が膨らんでいったのです。本来なら情報には、プラス面もマイナス面もあるはずです。でも、プラス面しか出さないようにしているのなら…全体像を見誤ります。いいカードも、悪いカードも、どちらもテーブルの上にのっけて話さないとダメなんじゃないか?と思ったのが、このテーマを書くことにしたきっかけです。

その通りですね。結局、中学受験を煽っているのは塾の存在だけでなく、メディアの役目も大きいですし。横田さんはお仕事柄、疑問に思われる視点もお持ちですけれど一般人は、雑誌や新聞に載っていることは信じてしまいますよね。

息子が誕生したのは2002年で「ゆとり元年」でした。僕は地方出身で高校までは公立校育ちですから、東京には私立中高一貫校という素晴らしい教育システムがあるのか?という感じでした。読めば読むほど中高一貫校は楽園のように思えましたし。息子が小学校に入学するころには中学受験を意識するようになって、小3の2月から日能研に通い、小4の2月にSAPIXへ転校し、小5の夏、息子が体調に異常をきたしたので辞めました。今は体力づくりのために剣道を習っています。もし、体調が悪くならなければ…まだ中学受験レースに乗ってやっていたかもしれませんね。

体に症状が表れるのは正直ですし、受験の呪縛が解けて元気快復してよかったです。受験塾にも相当お金がかかります。本ではファイナンシャルプランナーの方へ取材もされて中受で掛かる分の試算も細かくされています。でもこの時代、計画通りに行かないことがほとんどで一寸先は闇…かもしれませんけれど。

中学受験に関する出費の話って調べてもなかなかストレートには出てこなかった。塾に200万円、中高一貫校に500万円掛かるという概算をほとんど書いていない中学受験関連の書籍もある。塾発信の書物なんかでは、その辺ぼんやり。しかも、中高一貫校に合格しても、入学した途端にまた塾が始まるケースも少なくない。今度は大学受験のために準備…となります。そういうことを大手の受験塾の広報誌の編集長に聞くと「それは勉強が好きな子が、もっと勉強がしたくて塾に行っているんです」という。どこまでもカモっているなぁ…と思います。だから読者の方には、そこを気づいてほしいし、塾が発信する情報は割り引いて受けとめたほうがいいということを伝えたいのです。

この中学受験レースを始めちゃうと途中で降りる、引き返すことが親子共難しくなるというのもありますよね。そして実は私立中高一貫校へ入学してからもいろいろある…。

中学受験を途中で降りるのも勇気がいりますし、そういう事例もこの本には載せています。数字的には「辞めたい」と思っている人も相当いる。入学後は「いじめ問題」もあります。でも確かにあることなのに、私立は都合の悪い情報を外部に漏らさないようにすることもある。実際は中に入って当事者にならないとわからないことも多い。いじめ問題は、公立校なら教育委員会が各校に指導できるけれど、私立へは同じようにはできないのです。文科省も東京都も警察も、たとえいじめが起こっても誰も介入できない。学校の中で葬り去られることなのです。

『アメリカ「対日感情』紀行』(情報センター出版局)アメリカに対するステレオタイプ的な報道に疑問を持ち、全50州、計150人に及ぶアメリカ人へのインタビューを敢行。1年半を費やした取材の成果をまとめた2000年に上梓、デビュー作。

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