「ZAN~ジュゴンが姿を見せるとき~」では制作者でありつつ、ナビゲーターとしても登場されています。何がきっかけで出演も? 私が沖縄の辺野古を訪れていた時、撮影隊として来ていたリック・グレハン監督とボートの上で出会ったのがスタートです。アメリカの大学院で学んできたことは、「世界で起きていること」を多角的な視点で捉えること。沖縄の辺野古で今何が起きているか?を取材を通じて深く知れたことは、そうした学びを実践で体験できた貴重な機会でした。 この作品を通して一番伝えたいことは、どんなことですか? 人魚のモデルにもなっているジュゴンという伝説の生き物が、自然環境を守る意味を教えてくれています。撮影舞台となっている辺野古・大浦湾の豊かな自然と、そこで進む米軍新基地建設。それにかかわる様々な人々を描いたドキュメンタリー映画です。壊されようとしている美しい自然環境を見ることで、現代に生きる人間と自然との繋がりについて少しでも考えるきっかけになればと思っています。 日本へ帰国されてから、その間いろいろなことが日本国内で起きました。仕事を通して何か感じられていますか? 日本では、自分の仕事の領域や所轄がしっかりと決められて、前例を踏襲しようとする傾向が強いので、どうしても新しいものがうまれにくい土壌があると思います。また、自分の意志というよりは、他人にどう思われるかによって物事を判断することが自然になっているためコミュニケーションに歪みが起こる。日本のシステムという大きな問題なので、時間をかけて考え、向き合っていきたいですね。 では最後に、これからの日本の子どもたちはどんな力をつけていくべきと思いますか? 自分自身を客観視できる機会を増やしていくことは大切です。自分とは異なる意見や文化的な背景を持っている人と積極的にコミュニケーションをとり、そのような人とどう共存できるのかを考えることも一つ。そして、「自分はこう思う」と伝える手段はたくさんあると思うので、自分の可能性を自分で決めずにいろいろなことに挑戦してほしいです。私は、自分のためにも、将来の世代のためにも、日本で起きていることをもっと知りたいと思っていますし、自分の意見を自由に言える社会を作ることに貢献していきたいです。 ---ありがとうございました! <了> 木佐美 有 映画情報 「ZAN~ジュゴンが姿を見せるとき~」
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