編集作業で注意された点はどんなことでしょう? 私は子ども達一人ひとりと会って、その時間の中で様々なことが起こりました。そういうことをあまり技巧的にせず、私が出会ったことをそのまま観客にも追体験をしてもらえたらと思い、映像で再現しました。もう一つは、やはりリズムです。子どもは泣いていたと思ったら、次の瞬間は笑ったり、感情の起伏が激しい。それを自然なリズムとして伝えられるように編集しました。 監督が感じられている自然さは心に沁みます。フランスの子ども達は自分自身の病気や体調を分析把握しているのがスゴイと思いました。 私は日本の子ども達の専門家ではありませんし、甲乙つけるわけではなく、子ども自身を治療に巻き込むことをフランスでは行っています。自分たちの病気をよくわかっているだけでなく、診察にも立ち会って自分の意見をちゃんと伝えていますよね。薬の知識や、血圧が低いとか、自分自身のことをきちんと把握しています。ですから「このお薬嫌だ、うんざり」と要望も伝えます。日本では「良薬、口に苦し」と言うそうですが(笑)。先日、国立成育医療研究センターを訪問しました。日本の医療もかなり進んでいると思います。フランスと日本お互い補足しあうことができるのでは?と感じました。 映画に登場する子どもの家庭、とても裕福なお宅なのでは?と感じました。貧しい家庭の子の育ちについてはどのようにお考えですか? 全然裕福ではありません。例えば腎臓が機能していないイマド君は、アルジェリアからフランスへ越してきています。社会福祉が充実しているフランスは貧しくても金持でも医療費はゼロです。子どもだけでなく大人もそうです。もちろん税金を払っている国民であることが必要なのですが、仕事をしていれば天引きされて積み立てされていますからね。他の国の人にはうらやましがられます。外国からフランスに来て医療を受けたいと希望しても、残念ながら100%自費になりますけれど。 そうした背景も関係しているのかもしれませんが、フランスは子どもを出産することに前向きだと思います。日本の良い点、改善すべき点を教えてください。 メンタリティというより、政策の違いでしょうね。マタニティに関してはフランスは国が手厚い援助をしています。日本の方はタブーをたくさん持っているように感じます。欠点は表裏一体で長所でもあります。どちらかというと中庸的なことも理解しているということですから。自分が感じていることを誰かとシェアするのは素晴らしいと私は思います。日本人はコントロールして自分を律してしまう。それは規律正しさにもつながっていますし、フランス人には欠けている点です。私はこの作品で、真実をシンプルに描いています。それを観て皆さんいろいろな受けとめ方をされていて、それぞれの感じ方に私のほうが感動しています。これがもっと続くといいなと思っています。 ---ありがとうございました! 2018年6月取材・文/マザール あべみちこ |
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