ひろ木師匠は子どもの頃、何をするのが好きでしたか? 広島では「調子乗り」といいますが、調子に乗りやすい子どもでした。先生のスカートをめくったりして、よく怒られていました。いたずらして叱られてもめげず授業中もマジメな時にふざけたくなっちゃう。みんなで野球したり相撲したりサッカーしたり、学校が楽しかった。2歳違いの姉が通っていた書道教室に、一緒に通うことになって、小学4年生でサッカーをやめなくちゃならなかった。でもそこで字が綺麗だと褒められたりして、今度は書道教室が楽しくってハマって、結局高校1年生まで続けました。そろばん教室は小4から中3まで続けました。田舎なので他に選択肢がなく(笑)。広島の中でも山奥で育ったので。 お調子者というかマジメな性格だったのがわかります。自然豊かな環境でお育ちになったのですね。 参考書買うのも30分車で走って隣町まで行かないと入手できないところでした。マジメでもお調子者だから、母が私のことでちょくちょく学校に呼び出されていたある日のこと。母が玄関で泣いていた…その姿を見て改心しました。小学5年生の頃です。お調子者からマジメに勉強する優等生キャラに転向しましたが、大学生の頃になって地が出てきて…(笑)やっぱり素は変わっていなかったか!と。 素があってこその今ですね。落語家に必要なスキルってどういうものでしょうか? たった一人でも荒野に立っていられること。落語家は一人の仕事。マネージャーさんが仕事を取ってくれるわけでなく、全部自分でやらないといけません。営業して、ネタも作って…自分で開拓していく力が必要です。ガツガツしていない僕はそれが一番足りていませんが(笑)。やればやるほど、その力は必要だと思います。仕事がない期間もありますし、自分からつながりをもっていかないと何もうまれません。うちの師匠は「大変だと思わないで、何でも面白がってやることが大事だ」と。僕はのんきで適当な面もあるので、それもよかったと思います。 浅草演芸ホールで3月1日から10日まで10日間リーダーを務められました。特別な場所でのお役目は感慨深いものでは? 一つひとつが真剣勝負です。2017年3月に真打となり、特に感じます。浅草演芸ホールでの昼の部リーダーは、今年で2回目でした。寄席でトリを取ることは大変です。なぜなら、前半に面白い方や上手い方がたくさん出演され、キャリアも先輩の方々ばかり。去年はうちの師匠と小朝師匠が出演されて、それをみるとお客さんが満足してホールを後に帰ってしまう…。プレッシャーのあまり去年は8日目に高熱も出てしまいました(笑)。子どもの知恵熱みたいですね。 |
|