故郷の親御さんは師匠が噺家として活躍されているのを喜ばれているのでは? 実は、7年間私の存在を隠し続けられていて、ご近所に職業は銀行員ということになっていました。でも実家に帰るたび、三味線の練習をしていたら「あの演奏は一体誰が?…」と聞かれるようになって、ついに告白したようです。実家はかなり田舎でして…芸人=カタギの人ではない…と見做していたのでしょう。落語家だと正直に公表した途端、多くの方が応援してくださるようになって村一番の芸能人になりました。おじいちゃんおばあちゃんたちが「村の宝じゃ」とたくさん握手してくれて、横断幕を作ってくれました。地元で落語会を10年以上続けて開催しています。 5歳の娘さんを子育て中とお聞きしました。子育てで大切にされていることは? お父さん5年目なので…いろんな人に子育てについて聞いて参考にしています。ハウツー本に影響されやすいので(笑)、東大合格の子どもを三人育てたお母さんの本を購入し、くもんを昨年からさせています。また、師匠の弟子教育も参考にしています。愛情いっぱいかけて、アドバイスをしながら厳しさよりあったかく見守ること。応援し続けることです。師匠のエピソードですが「僕が小さい頃、おばあちゃんに絵をたくさん褒められて、絵を描くようになった」そうです。また、師匠が最初に就職したメーカーを数ヶ月で辞め、漫画家も3年で辞め、噺家になると言った時も、いつもお母さんは「ひろくん(本名:洋)なら大丈夫!」と言って応援してくれたそうです。 小学校へ出張高座などたくさんされているようですが、落語が聞けるなんて今の小学生がうらやましいです。 世田谷区では日本語という授業があって、その学習枠で呼ばれることが多いです。でも教科書を見せてもらったら、日本の伝統芸能に歌舞伎、能、狂言、人形浄瑠璃などは載っていましたが落語はなかった。載っていないのに呼ばれています…(笑)。話の内容は学年によって少しずつ変えています。小学生にとって1時間は長い。45分くらいがベストです。 伝統芸能である落語、これからどんな展開を考えていらっしゃいますか? 師匠に「球を投げ続けることが大事だ」と言われています。師匠も、ラーメンだけでなく木久扇ナポリタンという新商品を出したり、歌を出したり、毎年本も出版したりして、球を投げ続けています。私も、最近では修行時代のエピソードを「前座ヒロキくん」という四コマ漫画に書いて、SNSにアップしました。また、今後はロボットと掛け合いしながら落語をやったらどうか?ドローンの専門家になろうか?など、楽しみながらできることを考えています。 ---ありがとうございました! 2019年3月取材・文/マザール あべみちこ 林家 ひろ木 公演スケジュール
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