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新聞記者 望月衣塑子さん高校3年時に文化祭(辛夷祭)でシラノドベルジュラックのロクサーヌを演じた。
ジャーナリズムは民主主義に不可欠。高校3年時に文化祭(辛夷祭)でシラノドベルジュラックのロクサーヌを演じた。

いろんなしがらみがある政治部の中で、望月さん強く発言されていてすごいなぁと感じます。意見を伝えられるには学校教育も関係ありますか?

私自身は、学芸大付属小・中・高校で過ごしました。歴史に詳しい先生は多かったですし今考えるとリベラルな人が多かった。先日、とある中学・高校の先生と話をしたのですが、今は生徒がとても受け身なのだそうです。先生の発言に疑問を持たない。「そんなことをしなくても受け身になっていれば楽じゃないですか」と生徒に言われてガックリした…と言っていました。一方、ドイツの場合は、先生の言うことをすべて否定する形で議論をしてみよう…などの取り組みをやっているそうです。ナチスドイツ時代に政権から「公平・中立」を課されたことで、裁判官も教師も批判ができなくなり、結果としてドイツの独裁となった…という歴史があります。敗戦後は、裁判官も教師もデモに参加できるし、政治的立ち位置を表明していくべきだとされています。ドイツはヒトラー政権の独裁は、中立という名のもとにメディアも裁判官も教師も政治をチェックする意識を持てなかったという反省があります。だから、学校の先生は子どもたちに、何事においても 君たちはどう思うか? を考えさせるそうです。

ドイツはそういう意味で国民も意識が高いですね。日本は敗戦後、何を反省して教育に反映しているでしょうか?

徴用工問題もそうです。私自身、「国際間の約束を守るべきだ」という政府のスタンスも一定の理解はしていますが、同時に韓国の方々となぜこんな軋轢ができてしまうかというと、1965年の日韓請求権協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定のこと)の中で決められた、その当時の枠組みはわかりますが、枠組みを決める前提として植民地支配は違法だったのか?合法だったのか?という議論は、棚上げにされました。日本は当時の状況下では合法。韓国は違法と主張しました。 結局、折り合いがつかないから、その点ははっきりさせず8億ドルの有償、無償の資金援助という約束を交わした。植民地時代の人権侵害、慰謝料を支払えということは、政府としてできないと言うのも無理はないのですが、なぜ韓国がそのような話を今してくるのか?なのです。安倍さんになってから、加害の歴史の謝罪はしない、慰安婦は教科書の記述から削除される、国内での慰安婦像の展示はできない…と日本のニュースを見る限り、植民地支配時代の歴史が伝えられなくなっている。そもそも日韓請求権協定の枠組みを作ったのは安倍さんの祖父である岸信介です。韓国からすると、A級戦犯だった岸首相が作った枠組みが請求権協定であり、孫の安倍首相がその認識を引き継いでいるのではないか、安部首相は、加害の歴史まで変えようとしているのではないかと。韓国の市民が疑問を抱いているのは、日本というより安倍さんなのです。

世界の中で、日本が反省を忘れていると見られるのは居たたまれないです。歴史を知らないと政治は語れませんね。安倍さんは勉強していないのでしょうか?

日本はアメリカのトランプ流の「禁じ手」を輸出管理強化で始めたと思いますし、それによって韓国の人々の感情が刺激され、安倍首相の負の側面が強調されている。企業が賠償金が払えないとしても、日本の歴代の首相談話などが述べてきた反省や慰安婦への謝罪について言及することがあれば、ここまで大きな問題に発展しなかったのではないかとも思います。加害の歴史を私たちがもっと学んでいたらこうした問題にはならないはずです。政治家二代目、三代目でも勉強している人はいます。でも安倍さんが歴史や憲法をしっかり勉強してきたとは到底思えません。こんな時こそジャーナリズムがより重要になっていくのではと思っています。

たくさん勉強しながら新聞記者としてお仕事されて、お二人まだ小さなお子さんも育ててらして毎日どうされているのか心配です(笑)。子どもたちにはこの先どんなふうに育ってほしいと?

会見行って取材して原稿書いて家に戻って…と生活のリズムができればそんなに大変ではないですよ。紹介された本を読んで新しい発見も沢山あります。取材を通して情報や経験を学ぶことも多いです。夫も新聞社勤務ですが、時間を作って子どもの世話をしっかりみてくれます。同業者なので仕事への理解があるのも助けられています。子どもたちは「抱っこ抱っこ」を卒業しても、成長の中でいろんなものにぶつかっていく。だから3歳を過ぎたからもう安心ということではないです。私自身は割と早い時期、小学5,6年生で反抗期がきて、先生にも親にも歯向かってました。中学生になると逆に「所詮大人も一人の人間、失敗をするもの」と理解できるようになりました。伊藤詩織さんをはじめ、モノが言えない日本社会の中で、それでも声をあげて変えていこうという動きがあります。そうした状況をみていると希望があるし、私も社会に火を灯せる一人でありたいと思います。子どもに求めたいのは、先生の話を決して鵜呑みにしないこと。自分自身の考えや思いや疑問を素直にぶつけ、伝えられる人間であってほしい。流されないように自分の意見をもってほしいですね。

---ありがとうございました!
取材でありながら、歴史の授業を聞いているような感覚になり、大変学びの深い時間となりました。映画はフィクションとはいえ、真実を物語るシーンが数々あります。事実は小説より奇なり、ですが日々のさまざまな情報に疑問を持つことの大切さを改めて感じました。お忙しい中ありがとうございました。

2019年8月取材・文/マザール あべみちこ

活動インフォメーション

望月 衣塑子 活動紹介

40万人動員、5億円突破!
映画『新聞記者』ロングラン大ヒット中!

映画『新聞記者』

監督: 藤井道人 / 主演: シム・ウンギョン  松坂桃李

新聞記者

  • 新聞記者
  • 望月衣塑子 著
  • KADOKAWA
  • 定価 864円(税込)
  • 発売日 2017/10/12
  • 官房長官会見に彗星のごとく現れ、次々と質問を繰り出す著者。脚光を浴び、声援を受ける一方で、心ないバッシングや脅迫、圧力を一身に受けてきた。演劇に夢中だった幼少期、矜持ある先輩記者の教え、スクープの連発、そして母との突然の別れ…。歩みをひもときながら、劇的に変わった日々、そして記者としての思いを明かす。

同調圧力

  • 同調圧力
  • 望月衣塑子/前川喜平/マーティン・ファクラー 著
  • KADOKAWA
  • 定価 907円(税込)
  • 発売日 2019/6/8
  • 自由なはずの現代社会で、発言がはばかられるのはなぜなのか。重苦しい空気から軽やかに飛び出した著者たち。社会や組織、友人関係など、さまざまなところを覆う同調圧力から自由になれるヒントが見つかる。

安倍晋三大研究

  • 安倍晋三大研究
  • 望月衣塑子/ぼうごなつこ/佐々木芳郎 著
  • ベストセラーズ
  • 定価 1,620円(税込)
  • 発売日 2019/5/26
  • 「初の憲法改正」を目指す政治家・安倍晋三とは?誕生から第一次内閣辞任までを、知られざるエピソードと事件満載のまんがで紹介。また思想家・内田樹氏と、安倍政権の強さの秘密である「安倍マイレージ・システム」と日本の政治を激論!いま知っておきたい日本の政治の歴史と未来―。

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次回予告!

歌人 俵万智さん

次回は、歌人の俵万智さんが登場。デビュー作である歌集『サラダ記念日』は280万部のベストセラー。代表的な短歌【『この味がいいね』と 君が言ったから七月六日はサラダ記念日】では何気ない日常を短歌にし、身近な視点から感情の機微を伝えた。デビュー作から33年経ち、昨年出版した歌集「未来のサイズ」で歌壇の最高峰とされる迢空賞を受賞。世相も織り込む三十一文字で表す豊かな世界、子育てで感じた思いなどお聞きしました。どうぞお楽しみに!

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