幸野 健一(こうの けんいち) 1961年、東京都生まれ。サッカーコンサルタント。中央大学杉並高校、中央大学卒業。7歳よりサッカーを始め、17歳のときに単身イングランドへ渡りプレミアリーグのチームの下部組織等でプレー。以後、指導者として日本のサッカーが世界に追いつくために、世界43カ国の育成機関やスタジアムを回り、世界中に多くのサッカー関係者の人脈をもつ。現役プレーヤーとしても、50年にわたり年間50試合、通算2500試合以上プレーし続けている。育成を中心にサッカーに関わる課題解決をはかるサッカーコンサルタントとして活動し、各種サッカーメディアにおいても対談・コラム等を担当する。2014年4月に千葉県市川市に設立されたアーセナル サッカースクール市川の代表に就任。専用の人工芝グラウンドを所有し、イングランドのアーセナルFCの公式スクールとして活動していたが、2019年4月よりFC市川GUNNERSにチーム名を変更した。また。33都道府県で開催し、400チーム、7000人の小学校5年生選手が年間を通してプレーする日本最大の私設リーグ「プレミアリーグU-11」の実行委員長として、日本中にリーグ戦文化が根付く活動をライフワークとしている。» 幸野 健一 公式サイトはこちら 「パッション」おもしろく拝読させていただきました。赤いブックデザインもコンセプトにぴったりですし、見出しのどれもがおもしろくて思わず読み進めてしまうつくりで楽しめました。この本を執筆された思いをお聞かせいただけますか? 7歳頃からサッカーを始めて17歳で渡英して、世界最高レベルのスポーツがもたらす価値、人の生活へ与える潤いというものを体感しました。日本は経済大国にみえますが、スポーツの文化的価値があまりにも低い。人々の生活や潤いに関しては後進国だとずっと感じていて、たぶんそこに日本人は気が付いていない。サラリーマンは残業するのが当たり前、スポーツの長時間練習するのも当たり前。時間の貴重さ。そもそも人生において何のために生きているか、考えている人が少ない。ヨーロッパだと、人生は楽しむためにあるという基本的なスタンスがあるので、仕事はできるだけ集中して終わらせるとか、オンオフの生き方が生活のメリハリとなっています。 一方、日本人は「なんのために生きている?」という質問にはなかなか答えられない。何が違うんだろう?とずっと30年考え続けてきた結論は、僕の経験を子育てやサッカーに生かせるような本を書くということでした。 国によっての宗教観の違いも関わっているのかもしれませんが、日本は何かに所属していること。著書にも書かれていますが、例えば会社という組織だと「会社教」のような従属性がうまれて、なかなかそこのルールからはみ出せないというのはあるのでしょうね。 組織に依存して長時間労働、あるいは練習することで、これだけやったんだから、という安心感がうまれるのでしょう。日本は戦後50年くらいはそれでも機能してきた。年功序列、学歴社会という一億総中流といった「そこそこの幸せ」に浸かってきた。その間に中国や韓国に経済成長もどんどん追い抜かれてしまった。いってみれば競争原理を排除したのです。日本は経済大国だと思っていたけれど、実際最初からそんなことはなかったわけです。「なんちゃって経済大国」です。多くの人が固定観念に縛られて生きてきて、自分が世界に出たらそれは非常識になるというのを知ってほしくて、書きました。 コロナによって如実にそうした問題が表面化したと思いますが、幸野さんはコロナ禍での日本、どのように感じられますか? コロナがあってよかったというには語弊がありますが、偽物が淘汰され、本物だけが残ると思います。サッカーコーチだけでなく、町のラーメン屋さんでも同じです。信念をもってやっているものだけ生き残る。僕は元々そういう思いでいましたが、コロナによってそれが加速化されたと思います。プロは常に研鑽し続けるもの。プロなのに勉強しない人たちがあまりにも多いと感じています。自分自身はプロとして学び続けているつもりです。 プロであり続けるのは厳しい意識をもたなくては、ですね。サッカーコンサルタントという仕事は、どのようなものですか? この肩書は日本で僕しかいません。サッカー界に起きている問題を解決する仕事という括りになります。具体的にいうと、たくさんサッカークラブがありますが経営相談を受けたり、テレビやラジオなどのメディアに出演してます。サッカー界にまつわる課題は何か?といった時に、日本はトーナメント至上主義で日本のスポーツそのものが甲子園をはじめ、全国高校サッカー選手権など、「大会文化」なのです。そんな国は世界の中で日本だけ。僕はそれをリーグ戦に変えようと記事に書いたり提言しているだけでなく、プレミアリーグU-11という年間3000試合を行う、全国33都道府県の私設リーグを作って展開しています。サッカーコンサルタントとして提言するだけでなく実践も行っています。 |
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