グローバー ミュージシャン/タレント 今日はグローバーさんの小さな頃のお話から、現在のお仕事まで「なぜそうなのか?」を詳しくお聞きします。私はJ-WAVEのリスナーとしてグローバーさんのMCはキレが良くて学ぶ姿勢が多いです。意識されている情報の捉え方があれば教えてください。 ニュース番組では毎回取り上げるテーマがあって、大きなストーリーを把握するようにしています。番組に出演される方の書籍を読んだり、話を聞いたり。そこから先は、誰かがまとめてる一冊がありますので、それを読んでみたり。日本の人が書いているものは日本の価値観から見たストーリーなので、 他の視点も知りたくて海外の方の本を読むことが多いです。僕は大学では美術史学科でしたので、歴史のある絵を観るのが好きなんです。日本の絵も海外の絵も、何百年何千年も残っているものは、根っこがその国の神話とか偉人になぞらえていることが多くて、そういうものを読んで好きになりました。聖書を読むとイエス様は良いこと言ってるなぁ。論語を読めば孔子は良い先生だなぁ。日本だと北斎の絵に出てくる当時の日本の物語、百人一首や和歌を読んでいくと素敵だなぁと。イスラム絵画も好きなのでコーランを読んだり。 え?コーランも読まれたりするんですか?とても難しそうですが。 研究者の方が、わかりやすく翻訳してくれているものがあるんです。文化圏の価値観や、生き方の鏡にしているような古典があります。フランス文学だと、サンテ・グ・ジュペリの「星の王子様」とか。さまざまな文化圏の中でずっと読み継がれているものは、その国の人がだいじにしているもの、美しいものが詰まっています。そういうのを読むのが好きですね。そうすると、その国で起きているニュースや揉め事とか、日本でもそうですがいろいろあるにしても、根本にあるものがちょっと違うけれど似ていたり。すごく似ているけれどちょっと違っていたり。文化の良いとか悪いは、無いんじゃないかなぁ。宗教と宗教が喧嘩するのはやめておきなと思いますが、イエス・キリストは良いこと言ってますし、コーランも素晴らしいですし、孔子もすごいこと言っているし。インドにしても、カースト制や身分制度など直していったほうがいい点はあるにせよ、尊敬すべき先生がいっぱいいます。 世界各国の文学やアートから文化や宗教観の違いを知ろうとするのはおもしろいですね。子どもの頃に好きなことは、やはり絵でしたか? 子どもの頃、漫画か音楽の道に進みたかった。漫画は最初、キン肉マンを好きになって、鳥山明先生に憧れていました。アラレちゃん、ドラゴンボール。鳥山先生が子どもたちが自分で漫画を描けるように一冊にした「ヘタッピマンガ研究所」という漫画の描き方指南書がありました。その本の通り、お小遣いでケント紙を買って、パイロットインクとスケッチブックと、本に書かれた道具を揃え、自分で漫画連載を描き始めたタイトルは「ドラゴンボーイ」。3話で終了しましたけれど(笑)。漫画家の先生は憧れていますし尊敬します。ストーリーもそうですが、一枚の美しい絵を描けるってすごいことです。子どもですから漫画も1巻から順番に買うわけでなく、背表紙の絵がかっこいいからという理由で8巻から買ったりして。ゲームにしても同じで、ドラゴンクエストのゲームを買っても、ゲームそのものよりパッケージに描かれた絵をず~っと見ている時間の方が長い子でした。その頃の気持ちと、今も変わっていないんです。 好きなものが明確でしたね。コロナ禍となって一年経ちますが、お子さんを育てながら感じるのはどんなことですか? 子どもに教えてもらうことは多々あります。新型コロナウィルスによって世の中がガラッと変わって、前はこうだった…というのがあって悩んだり、お花見できたのにね、と肩を落としたり。子どもは「前はこうだった」という概念が無い。一つひとつのことが刺激的で、キラキラしていて楽しい。今、新しい時代への転換期ですが、今まではこうだったというのはあまりいい思考ではないと思います。今この時、先に生きているものとして、子どもたちのために1%でも明るい世の中を作りたい。日々キラキラして、笑顔を振りまいて生活している姿を見せていきたいですね。 |
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