きじまりゅうた 料理家 NHKの番組『きじまりゅうたの小腹すいていませんか?』も拝見しています。コロナ禍となって約1年が過ぎますがお仕事にどんな影響がありますか? かなり影響が大きくテレビのロケ、地方のロケも全てなくなりました。NHKの番組では、本当に一般のお宅へお邪魔して冷蔵庫の中の残り物で“小腹を満たすメニュー"をアドリブで作るんです。お邪魔させていただく方をスカウトするのも僕の役目。毎回テーマがあって、ねらいに合うターゲットを見つけるのに3日掛かったこともあります。でもコロナ禍でそうした方法が難しくなって、スタジオにゲストのお宅にある冷蔵庫を再現して、料理を作るスタイルになりました。こうした企画は、おうち時間の増加で自炊する人も増えたので、料理レシピをもっと知りたい方が多くなり、ありもので料理するモチベーションアップにも役立っているようです。 見ているだけでおいしそうですぐ試して作りたくなる手軽な感じがいいです。お料理のプロに囲まれてお育ちで、小さな頃からおいしいものをたくさん召し上がっていらした? そうですね。食べ過ぎて小学2年生の頃は肥満児。健康診断で要注意のハンコを押されていました。朝から納豆ご飯をたべて、納豆臭い!と一つ上の先輩にいじめられ、ショックでしばらく朝食が食べられなくなったりしたこともありました。祖母は漬物がうまかったので、漬物を大量に撮影することになると、しばらく漬物だけでご飯食べたりなんてことも。 子どもの頃からおいしい漬物を召し上がることができたなんてうらやましい環境です。 ぼくが産まれた80年代は日本の景気も良く、雑誌や書籍の仕事がたくさんあって週5日は自宅がスタジオを兼ねているような状態。ひっきりなしにカメラマンや編集者とか、いろんな大人が出入りをしていた。僕は一人っ子で、大人の顔色を見てモノが言える子どもでしたね(笑)。その場で誰が一番偉くて、その人に何を言えばどうなるか、など瞬時に判断できるような。周りの同世代の友達が年下の子に見えていましたから(笑)。 大人に囲まれていた分、賢かったのですね。料理家のバトンを3世代にわたって受け継がれているわけですが、どのような思いでお仕事されていますか? それぞれ時代と共に料理家の役目を担ってきているように思います。70年代に料理家として始めた祖母は、シェフや海外経験のある一部のセレブがお料理を教えて差し上げるという時代で、いわゆる「おふくろの味」を提唱していました。そして一人娘の母は90年代に料理家となりましたが、時代の流れと共に女性の社会進出があり、仕事をしながら家事もするのが一般的になり時短レシピが求められるようになった。そして僕が今しているのは、男女問わず料理の幅を広げることだと思っています。 |
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