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俳優・タレント サヘル・ローズさん言葉も文化も異なる日本で苦労が絶えなかった(9才の頃)
たくさんの習い事をさせてもらったけれど言葉も文化も異なる日本で苦労が絶えなかった(9才の頃)

本を読むと過酷な人生の中でも、給食のおばさん、校長先生、定時制高校の先生など、所々で助けてくれる方が必ず現れるドラマがありました。

当時の私は努力をせず悲観的でした。ただ一つ言えるのは私は縁に恵まれました。自分が何かしたわけではなかった。神様がいたらこんな状況にしないと思うのですが、神は誰かが作ったものでも、運や何かに護られていると感じます。引き合わせ、必然が人生の中でたくさんあった。ひとつの線がずれていたら、今の私はここに立っていません。

神様ではなく、運や何かに護られている…きっとそうです。生かされているのですね。

お母さんと出会えたのも、生みの親が私を授かってくれたから。身寄りをなくして孤児院で生活をしていなければ、フローラとも出会っていないし、日本に来ていなければ、校長先生、給食のおばさん、恩師のもっちーとも会っていない。

「生きること」はポジティブなことですが、生きているからこそ直面した苦難を考えると、「生まれてきてしまって良かったのか?」と自問自答してしまうことがあります。今のロシア・ウクライナ情勢にしても、大人ができるのは今の状況を丁寧に子どもに説明してあげること。今何が世界で起きているのかと同時に加担しない。守られていることは尊いと伝えていきたいです。子どもの未来は守られるべきですし、子どもには平和ボケをしてほしくないと思っています。

平和に慣れてしまうと、どっちが良くて悪いか分断したがりますが、平和を守るというのは敵と味方を作ることではないのですね。

戦争はどちらも被害者で、どちらも家族がいます。自分が殺人者になる恐怖。国のトップは現場に出ているわけではないので、サインや指令ひとつで大量に殺人を冒します。その怖さ。それをあやふやにせず丁寧に伝えていきたい。自分の子が、孫が、その状況に置かれたら・・・を考えてほしいですね。

戦禍を潜り抜けてきたサヘルさんだからこそ、実感を伴う言葉だと思います。お母さんのフローラさんにはどんな言葉を贈りたいですか?

ありがとう。そして本当に愛している。私はお母さんを生んで育てたい。お母さんはやりたかったことを何もできなかったから。全部私のために諦めてきた。いろんなことに蓋をしてきたから、次はお母さんを私が授かって、やりたいことを全力で応援したい。お母さんを幸せにしたい。

心が綺麗じゃないとお母さんにそんな風に言えません。幼い頃、習い事をたくさんさせてもらったことも書かれていましたが、お母さんはサヘルさんの可能性が楽しみだったのでは?

習い事はピアノ、そろばん、テニス、アーチェリー、バレエボール、水泳、バレエ、歌、アイススケートなどたっくさんしました。当時は親のやりたいことを押し付けられているように感じて。トイレもお風呂もないアパートで暮らしていたのに、お母さんがどれだけ経済的に窮しているかもまったくわからず。この中から一つでもプロになってくれたら生涯生活に困ることはない。お母さんはバレリーナになる夢があったから、女の子を育てたかった。

でも私は、ただただ毎日習い事に通わされ、やりたくもないことをさせられて引っ越しばかりで友達もできなかった。皆、友達の家に遊びに行けるのにそれすらできない。勉強も追いつけず語学を学ぶのに精一杯でした。宿題を持ち帰ってもお母さんに教えてもらえない。すべてがずれてしまっていた。なぜお母さんができなかったことを私がやらなくてはいけないの?押し付けられている!もっと自由になりたい!…その時の私は中途半端で、ひとつでも最後まで丁寧にやっていれば…。今もなんとなく全部できますがプロではない。

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