西條 剛央 (さいじょう たけお)さん 早稲田大学大学院(MBA)専任講師。専門は心理学や(科学)哲学。「構造構成主義」というメタ理論を体系化。実家が仙台なので犠牲になった人たちのためにも今の自分にできることをしたいと思っています。 Twitterフォロー歓迎いたします この支援プロジェクトは4月2日に立ちあがったということですが、何がきっかけでスタートされたのでしょう。3.11震災時はどうされていたかもお聞かせいただけますか。 震災のあった日、首を痛めていてちょうど都内の治療院にいました。東北は震度7と聞いて、実家が仙台にあるものですから助けにいかねば…と思ったのですが、夕方になって家族の無事を確認できたので、結局東京に留まりました。その後は、ライフラインもガソリンもない実家に行っても東京の家族を心配させるだけなので、現地に行きたい気持ちを抑えつつ、忸怩たる思いで過ごしましたね。 ご親族が被災されて心穏やかでいられなかったと思いますが、ものすごいスピードとエネルギーでプロジェクトを立ち上げられたようですね。そのあたりの経緯を教えてください。 3月末あたりに実家で「明日ガソリンが入る」ということだったので、このタイミングならと、行くことにしました。実家に行ったのが3月31日、南三陸町に入ったのが4月1日です。 被災地は想像を遥かに超える酷い状態で、食糧も賞味期限切れのおにぎりしか届いていないとか、マイナーな避難所には物資が行き渡っていなかったんです。これは早く何とかしなければと思い、Twitterで「南三陸町レポート」を書き続け、翌日の4月2日には「ふんばろう」のHPを立ち上げました。 たちまち賛同者や参加者が集まり、現在もなお協力者が増加中です。なぜこうした動きになっていると思われますか? まず日本中に本当にたくさん支援したいという方がいたということですね。そして、このプロジェクトは誰でも参加できますし、物資を提供するにしても個人ができる範囲で送ることができます。さらに「amazonのウィッシュリスト」と連携するなど工夫して、本当に必要な物が必要な人へ届けられる仕組みを作りました。現地の行政は、選別などが猥雑になるという理由から個人からの物資を受け付けていません。「ふんばろう」は人と人を結ぶ「顔の見える支援」です。せっかく救援物資を送っても倉庫に眠るようなことにはなりません。被災地のために何かしたい人がたくさんいて、自分たちが支援している物が誰に使ってもらえているのかもわかります。お礼の手紙が届いたり、電話がかかってきたりしますので、人の縁が絆に変わっていきます。人が人に支援するという基本に戻ることが求められているのだと思います。 生活まわりの物資を送るプロジェクトだけでなく、並行して数々のプロジェクトを立ち上げられています。ここで少しその具体的プロジェクトの内容を紹介していただけますか。 被災地、被災者のためになることはどんどんやっています。被災後すぐは食糧、衣類、生活物資の支援をしてきたわけです。南三陸町の水道復旧率は2ヶ月経過時点で1%、3ヶ月経過時点でも7%しか復旧していません。しかもそのうちの飲める水も限られています。これからも継続的な支援が必要です。 アイデアが豊富で、お仕着せではない活動だからこそ共感を呼ぶのでしょうね。今、この国はどんどん良くない方へ進んでいますが、西條さんは将来的にどのような社会を目指していますか? 皆が何を目指して生きるか、です。僕は、人それぞれ生きたいように活き活きと生きることが幸せにつながっていると考えます。その実現のために有効な考え方を伝えたり、実際に行動したりすることは大事なことだと思います。 たとえば、どのようなことが考えられるでしょうか? それはたとえば、個々人の私欲や利権ではなく、多くの人が幸せになるためのことを実行しそうな政治家を選挙で選んだり、あまりにもリスクの大きい原発に依存しない社会にしていくことではないでしょうか。
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