高野さんはイラストレーターとして活躍されていますが、小さな頃はどんな大人になりたいと思っていました? レコードを集めることが好きで、レコードジャケットのイラストやデザインをしたいと思っていました。化粧品や楽器のポスターが好きで、よくお店に行っては古いポスターを頂いて帰ってきたので部屋中、天井までポスターだらけ(笑)。自由を楽しむ大人に憧れがありましたね。プロのイラストレーターになるために、特に努力をしたというよりもイラストを描くことが大好きだった子どもが大きくなっても続けている、それだけかもしれません。 6歳上にお姉さまがいらっしゃるとか。 姉は優等生で私とは180度違ったので、両親は戸惑いもあり、扱いにくい子どもだったと思います。いつも家では「ダメな子だ」と否定されてばかりでしたので「ここは自分がいる場所ではない」と早くから思って、高校生で家を出て寮生活でした。姉は高校卒業後、イギリスへ美術留学していましたね。 お話しすることよりも、聞くことがお好きだとおっしゃってらしたのですが、その土台は学生時代に培われたものでしたか? 大人の話を聞くことが好きで、学生時代は職員室にいることが多かったんです。前職が刑務官という経歴の先生がいて、よく話しを聞いていました。友達と遊ぶことも大好きでしたが、本を読んだり、地図を片手に自転車や電車を乗り継いで、一人で遠くへ出かけることも好きでした。良く言えば好奇心旺盛、悪く言うと落ち着きがなく、両親には随分心配をかけたと思います。高校生の頃、アルバイトで貯めたお金を手に一人旅に出かけたのがきっかけで、働き始めてからもずっとバックパッカーをしていました。はじめて見る場所や出逢う人、知らない言葉、食事が好きでたまらないんです。 自分のことを「ダメ」と否定されても、外の世界でちゃんと居場所を見つけられるのは素敵なことですね。その心意気は子どもを育てる上でも共通しているかもしれません。 親が育ててきたように子どもは育つと聞きます。実は私自身、親とのコミュニケーションがよくできなかったので、自分は母親になっても子どもと上手くいかないのでは?と不安でした。でも「あれもできない、これもできない」と何かの基準から減点するのではなくて、「こんなこともできる。あんなこともするんだ」とゼロからおもしろがって子どもを愛することができた。それは、私にとって財産です。 ⇒ [3]を読む |
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