沖縄の子どもたちは、のびのび過ごせる環境があるかもしれませんが、今の子どもたちに思うことをお聞かせいただけますか? 私の初監督作『アンを探して』は、内気な女の子が主人公です。その作品のセールスツアーで全国の映画館と映画上映関係者を訪ねた際に、福岡で学童のケアをしているみなさんとお話する機会があり、今の子は何を話すにも「正しい答え」を言わないといけないと思って話せなくなっている……と、学童のケアしている方たちが涙を流していました。それだけ、学校や家庭で子ども心に親や先生からのプレッシャーを感じているんでしょうね。屁理屈で先生を困らせた私とは大違いの今の子ども達の現実が、なんだかかわいそうに思いました。反面、インターネットに小さい頃から親しんでいる世代は情緒面でどういう風な影響があるのだろう?と、とても興味深いです。私の世代は、ある程度ネット(Facebookやブログ)とリアルと、キャラというか人間性が一貫してますが、ある中学生の男の子が、blogでは饒舌なのに会って話すと、とっても無口で違和感を覚えました。インターネットは自由な分、大人でも依存しやすいと思いますから子ども達の情緒面が心配でもあります。 中学生くらいの男子は特に、言葉にできない鬱積をインターネットの世界にぶつけてしまうのかもしれませんね。ふだんおしゃべりな子なら違うと思いますが。では習い事を考える親たちにメッセージをお願いします。 ハマってもあきっぽかったり、遅くても我慢強くわかろうとしたり、っていう学習のクセは、たくさんやってみてわかるものだと思います。お子さんや親御さんも、それぞれの学習のクセみたいなものも『気づく』という意味では、とてもいい挑戦ではないでしょうか。私自身は、習いごとをした記憶が少ししかないので、あのときに毎日学ぶ習慣をつけていられたらなぁと思うこともありますが、逆に子どもの習い事に固執しない両親だったので、元気に外で遊び回ることが出来てよかったとも、思います。 小さいときは、世界が狭いので、学校か家庭、二つの世界しかないといっても過言ではありません。ということは、「学ぶこと」が嫌いになるか好きになるかの境目も、周りの環境の影響は大きいと思います。子どもの頃から勉強クセをつけておくことも大事かもしれませんが、習い事をしてもしなくても、どこかで子どもらしくリラックスできる時間を持たせてあげるのは、大切かもしれませんね。 では、まとめとして今回の映画で異なる文化、異なる世代の二人の旅を通して表現したかったこと、そして撮影の苦労とは? 内容については監督が話した方がいいとは思いますが(笑)、プロデューサーとしては、中国・ヤマト(日本)・アメリカより以前の、古くからアジアの交流拠点として栄えていたという背景がある沖縄だからこそ、カナダの旅人と日本からの旅人(仮の宿という意味で)が出会い、2人が沖縄の旅を通じて自分とは異質なものを「受け入れる」ことの大切さを描いている点は、沖縄を象徴する気がしています。 ギッシリと濃い作品となっているのがよく伝わってきます。今後どのような活動計画をご予定されていらっしゃいますか? 昨年に引き続き、今年は自身の長編映画の種まきと、海外のドキュメンタリーのお手伝いをしていきたいと思っています。 ---ありがとうございました! <了> ●宮平貴子さん活動情報 映画『カラカラ』1月12日(土)より沖縄シネマQとミハマ7プレックスとの 1月19日(土)より新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー! ●リリース情報 |
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