お母様が厳しかったと先程おっしゃいましたが、こんなふうに今ご活躍されているのを一番喜んでくださっているのではないですか? そうですね。でも母は昔から踊りそのものがいいかどうかをすごく重視していて、コンクールで入賞して表彰状やトロフィーをもらっても褒めてくれない人でした。家に帰ってしばらくして、もらったはずの賞状やトロフィーがどこにもないから聞くと「ああ、あれね。棄てておいたわ」と。「家にあるとかさばるだけだし、あんなの持っていてもしょうがないでしょう?」というのが母の理屈。今思えば、コンクールの実績はバレエ人生においては取るに足らないものだとわかるので、あの時の母は正しかったなぁと思いますね。 コンクールにいくら入賞しても全員がバレリーナになれるわけではありませんよね?バレリーナに必要な素養は何でしょうか? バレエが好きなこと。そして健康で心身共強く努力家であること。バランスが取れているのが一番いいのでしょうけれど、私はどこか自分がアンバランスなんです。自分が強いと思ったことは一度もありません。だからいつもバランスを取ろうと意識しています。アメリカに行った時はバランスを崩したのですね。日常生活も自分の健康もバレエに集中できるようにバランスを取れば、自分が頑張れるというのがわかったので今は快適です。 12月は「くるみ割り人形」に金平糖の精の役で出演されます。公演の見どころを教えてください。 The Christmasというストーリーです。幸せいっぱいでキラキラした世界。幸せな気分でご覧になれる作品です。今回、演出は牧阿佐美先生によるもので、新宿駅周辺の雑踏からお話しは始まります。女の子がワープして別世界へ飛ぶファンタジー。古典を現代風にアレンジしています。くるみ割り人形はクラシックの王道。踊りが激しいパ・ド・ドゥ(男女2人の踊り)で…楽し気でにこやかに踊っていますが、技術的にも体力的にも実は大変です(笑)。 では最後に、特にこれからバレエを習わせたいと思っている親御さんへメッセージを頂けますか? 私は大好きなバレエを職業にできて、こんなに幸せなことはないと思っています。それで報酬も拍手も頂けるという仕事は奇跡です。そういう意味でとてもやりがいのある仕事。バレリーナを目指してどうか頑張ってほしいです。バレリーナに必要なスキルは表現力だけでなく、体の型…体の使い方です。自分が好きなように踊るのではなく、立体的に踊る。造形を創っていくような踊り方です。それを常に自分で考えながら踊るのです。もし私が将来子どもを授かったとしたら、それが男の子でも女の子でも、きっとバレエをさせると思います。踊ることは幸せです。でも自分がすごいステージママになりそうでちょっぴり怖い気もします(笑)。私は良い指導者に恵まれましたが、ひとの子に教えるのと、自分の子に教えるのでは、全然違うのでしょうね。 ---ありがとうございました! <了> ●米沢 唯さん出演情報 チケット発売中!他にも作品のみどころや動画インタビューなど紹介されています。 |
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