■息子さんに、確実に将棋のDNAが受け継がれているわけですね。お子さんが生まれてどんな変化がありますか? 例えば小さい子が道端で遊んでいても、これまでは全然見向きもしなかったのですが、自分の子が生まれてからは声を掛けてみたくなったり。父親になることって、そういう変化があるんですね。息子はこの夏2歳になりますが、将棋の駒を駒台に乗せて積んで遊んだりしています。機嫌がいい時はいいのですが、急に機嫌が悪くなってうお~~!と将棋の駒を散らかしてくれるんです。それをいちいち僕が駒数を確認して拾い集めなくてはならないのが面倒くさいんですが(笑)。感情の起伏が激しいのが不思議というか、子どもっておもしろいですね。
■お子さんは、どんなふうに育てたいですか? ごく普通に生きていくことも一つの選択ですし、何かやりたいことがあれば熱中してやるのもいいですし。プロ棋士になるために、何かを押し付けたり、教えたりということはないと思います。本人がプロ棋士になりたいと望めば、それは勝手に頑張ってもらいますけれど(笑)。子どもは3~4人くらいほしいです。でも、今一人目が2歳になるところで、ちょっと楽になってきましたが。これをまた1から繰り返さないといけないとなると大変だなぁ…と。
■将棋の魅力ってどんなところでしょう? 同じ戦いにはならないし、次々と新しい手が出てくるところ。アマチュアだと、世代を超えて楽しめる点ですね。お爺ちゃんと孫でも同じステージで闘えるわけですから。そういうところで人と人とのコミュニケーションが生まれたりしますし。
■対局では緊張されると思いますが、趣味は競馬とお聞きしています。競馬で発散されていますか? もう慣れてしまったからということもありますが、対局自体は疲れたり緊張したり、というものでもないんです。ストレスを感じているわけではないんですよ。競馬は楽しみであり、趣味なんです。ものすごく当たるわけではないですが、まぁ大負けしなければいいかと思っています。「読む」のが好きなんですね。競馬はドラマがあるんですよ。
■それでは、同世代の親にメッセージをください。 子どもに何かをやらせる、というよりも、ある時期までは自由にさせてほしいな、と思います。将棋のイベントなどでも「どうしたら子どもが強くなるんでしょうか」とよく聞かれます。そんな時は「負けても怒らないでください」と言っています。うちの父は、うるさく言わなかったし、負けても怒らず見守ってくれた。勝つと褒めてくれましたが、負けても「まぁ、次があるよ」と。操り上手だったのかもしれませんが(笑)。でも、父と共通の趣味があった環境でしたから、僕の場合は反抗期もなかったですし、今も良い関係ですね。そういうふうに育ててくれた親に感謝しています。
----どうもありがとうございました。 頭の良い子の育て方、とってもまぶしくお聞きしました。淡々と一言一言にきちんと意味をもって語ってくれる渡辺さん。「親にひっぱたかれたことなんてないでしょう?」と聞くと、びっくりしたご様子で「え、それはないですね。普通ないんじゃないでしょうか?」……いえいえ、我が家ではここは柔道部か?!と疑われるほど、道場のように投げ飛ばしたり飛ばされたりする家もたくさんあるはず?!やんちゃな時代もあったと思いますが、自信のあることをちゃんと伸ばしてプロになり、人生早回しな勢いで、既に一児のお父さん。渡辺さんのBlogはものすごいレスが付いていておもしろいです。それだけ将棋界の中で注目されているのですね。これからも将棋界での快進撃、期待しています。 |