■ところで、子どもがラグビーをすることで、どんな変化がみられますか。 まず、その子たちに合った役割や責任が生じます。その中で、仲間の信頼、大切さを知る。例えば自分がやらねばならないことをしないことで、迷惑を掛けると気づくことができる。そういう社会に出てから身につくことって、スポーツからしか学べない。勝ち負けを経験することで成長できる。僕は、子どもたちに平等意識を植え付けるつもりはないんです。勝つためには努力が必要だということを身をもって知ってほしい。芝生の上でスポーツをする楽しさを知ってほしいですね。
■小学校の運動会では、勝負する種目が減っているように感じます。 リレーでもスターターがいて、アンカーがいて、そして応援する人がいる。誰もがリレーの選手になれるわけでないけれど、バトンがもてない人だからといって、何もやらなくていいわけじゃない。自分の役割を見つけてほしい。僕がチームの信念にしているのが、alive=生き続ける、そこにプライドをもつこと。点差で負けても、マインドで負けなければ気持ちがいいじゃないですか。
■現在、サントリーラグビー部「サンゴリアス」の監督ですが、清宮監督が就任してからチームが強くなったのでは? まだシーズン始まったばかりで結果はこれからです。でも、勝ち続けるための戦術を考えています。練習時間は毎日午後2時間集中します。今シーズンはトップリーグ13試合、トーナメント2試合、その後のトーナメントで3試合のゲームを控えていますので。
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2006年大学選手権で関東学院大に41対5で快勝 (写真提供:早稲田大学ラグビー蹴球部) |
■監督として必要なマインドや、資質みたいなものはありますか。 チャンピオンになるという雰囲気をもって、その気にさせ、流れをつくっていく。勝ち負け経験することで、いろんなことを身につけて、引き出しの数を多くすることですね。
■この先は、どんな活動をされたいご意向ですか? 少なくともあと10年はラグビーの監督をしてゆきたいです。その先は……まだ白紙です。
■では、読者の親御さんへメッセージをお願いします。 僕は自分にできることをやっていこうと思います。人それぞれ立場によって使命は違います。でも、大人としての責任を考えたい。子どもたちに情熱をもち、本気で向き合ってゆきたい。
----ありがとうございました。 念願の清宮監督にお会いでき、光栄でした。私は約20年前、ラグビーに狂っていた時代があって、休平日問わず秩父宮ラグビー場、国立競技場、横浜三ツ沢グラウンド、江戸川グラウンド……など通いつめたものです。ラグビーのレポートができるからという理由で本気でTBSの入社試験を受けたり (笑)。あんなに体を張って勝負するスポーツを知らなかったし、ラグビーをする選手のキャラクターが個性豊かで毎試合楽しませてもらっていました。インタビューは一つひとつ言葉を選ばれて、慎重にお話してくださった清宮監督。でも、やっぱり監督はグラウンドが似合います。次回は、ラグビー場でまた、「荒ぶる魂」をみせてください。
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<了>
取材・文/マザール あべみちこ |